作新 8強一番乗り!ルーズベルトゲーム超えの打撃戦 9回武藤主役弾で制した

[ 2023年3月26日 04:45 ]

第95回選抜高校野球大会第7日・3回戦   作新学院9-8英明 ( 2023年3月25日    甲子園 )

<英明・作新学院>9回、左越えに逆転の2点本塁打を放つ作新学院・武藤(撮影・後藤 大輝) 
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 2回戦2試合と3回戦1試合が行われ、作新学院(栃木)は英明(香川)との壮絶な打撃戦を9―8で制してベスト8に一番乗りを果たした。「5番・三塁」の武藤匠海内野手(3年)が9回に逆転2ラン。選抜では23年ぶりの8強へ導いた。東邦(愛知)は高松商(香川)を6―3で下して選抜通算58勝目を挙げ、中京大中京(愛知)に並んで歴代1位となった。沖縄尚学はクラーク(北海道)に3―1で勝利した。

 WBCを制した侍ジャパンの主砲・吉田(レッドソックス)に「自信があるから大きく振れる」と憧れ、貫いてきたフルスイング。そんな武藤の一振りが「ルーズベルトゲーム(8―7)」超えの打撃戦の主役になった。

 8回表に逆転し、裏の守りで再逆転されて7―8。9回1死一塁で打席が回ってきた。併殺なら試合終了。1ボールからの2球目、スライダー気味に内角に入ってきた123キロを迷わず振り抜くと、すぐに右拳を突き上げた。「捉えた瞬間にいったな、と。今まで生きてきた中で一番うれしかった」。確信した通り、打球は軽々と左翼席へ届いた。

 「あの負けを忘れたことはない」。夏の栃木大会連覇が10でストップした昨年の国学院栃木との準決勝は自身も「6番・遊撃」で先発出場。悔しさを胸に、ナインは打撃練習に連日4時間以上を割いた。「秋までは変化球に泳がされていたので、緩い球を下半身で粘って打てるような練習を繰り返した」と武藤。左手のいくつもの血マメが練習量の多さを物語り、「緩い球に泳がされなかったのは練習の成果」と続けた。

 5回までの1―1から一転して壮絶な打ち合い。17人を起用した初戦に続き、ベンチ入りの18人全員を起用する総力戦で勝った小針崇宏監督は「誰が出ても力はそれほど変わらない。チームで戦うことを表現してくれた」とねぎらった。

 昨秋の関東大会ではベスト8と選抜出場を確実にする結果ではなかったが、打力が評価されて出場が決まった。夏の悔しさをバネに成長を遂げた証。武藤は「今は一人一人がやるべきことを考えて出ているから(試合で)結果も出ている。ここまで来たら優勝したい」と全員の思いを代弁する。どんな展開でも、今の作新学院には18人で勝利をつかむ力がある。(村井 樹)

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2023年3月26日のニュース