阪神・青柳 完全無欠エースへ「赤星塾」入門 俊足王から“盗まれない”極意伝授され「引き出し増えた」

[ 2023年2月7日 05:15 ]

素早いモーションで投球練習する青柳 (撮影・成瀬 徹)
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 阪神の青柳晃洋投手(29)が沖縄・宜野座キャンプ第2クール3日目の6日、臨時コーチを務めたOBの赤星憲広氏(46=本紙評論家)から“盗まれない”極意を伝授された。盗塁王5度、通算381盗塁を誇る走塁のスペシャリストからスタートを切りにくいけん制の間や、回数の駆け引きなどを会得。元々、超速クイックを駆使してきた2年連続最多勝右腕は今季一度の盗塁も許さない究極の目標を立て完全無欠のエースとなることを誓った。

 レジェンドの“挑戦状”から極上の学びの時間は始まった。臨時コーチの赤星氏による投手陣への走塁講義の後、青柳は筒井外野守備走塁コーチからクイック投法のうまい投手の一人に挙げられた。その直後、声を上げたのは同氏だった。

 「俺が現役だったら絶対に走りたい選手。あの(クイック)タイムでスタートを切る人はなかなかいない。俺だったら走るよ」
 まさかの“宣戦布告”をきっかけに、通算381盗塁を誇るスペシャリストに率直な疑問をぶつけた。「赤星さんはギャンブル(スタート)でいくことはありますか?」。現役時代、同氏はギャンブルスタートは切らず、配球を読んで盗塁を試みていた。その中で、仮に投手・青柳から盗塁を試みるなら…。「遅めのシンカー、スライダーを投げる時に行きたい」と具体的な狙いも明かされた。

 こんな機会はそうそうない。エースの向上心に火がついた。「けん制を何回入れたら走りやすいとかあるんですか?」。走者目線でのけん制の間や、スタートを切りやすいタイミングなどを包み隠さずに伝授され「僕の中で引き出しは増えた」と収穫を強調した。

 俊足王の助言は鬼に金棒だ。入団時は苦手だったクイックモーションを磨き上げ、今や球界随一のスピードを誇る。「僕自身、(走者の)企図数は本当に少ない」と胸を張るように昨季、セ・リーグの規定投球回に到達した投手10人で許盗塁は最少で、阻止率もトップ。強肩の正妻・梅野の存在も大きい。走られにくい上にスピードスターの助言でけん制の間や回数の駆け引きが向上すればシーズン通しての許盗塁「ゼロ」という究極の目標も見えてくる。

 「ゼロを目指せるなら目指したい。(けん制の間など)改善の余地があるかなと思うので成長できる。ランナー心理を聞けたので、まだまだ自分の中でできることは多い。引き出しがいっぱいあれば、企図すらさせないことができると思う」

 授かった“秘伝の心得”は明かせない。すべてはシーズンのため―。岡田阪神の開幕投手最有力候補。重責を担う虎のエースに見つかった“伸びしろ”が背番号17を完全無欠な存在へ押し上げる。(遠藤 礼)

 《梅野 盗塁阻止へ共闘》
 梅野が青柳のサポートを誓った。貪欲なエースは臨時コーチの赤星氏に弟子入り。盗塁阻止の助言を仰いだことを伝え聞いた正捕手候補は共闘を宣言した。「(赤星氏の助言を)取り入れてマイナスになることは一切ないし、すごくプラスになるんじゃないかなと」。昨季の盗塁阻止率はリーグ3位の・323にとどまったがリーグ屈指の強肩、ブロッキングは健在。共同作業で敵を足止めだ。守りの要は背番号17とのコンビで一塁走者をくぎ付けにする。

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