中畑清氏 リスク恐れずフォーム改造 オリックス・由伸の画期的試み応援

[ 2023年2月7日 05:30 ]

WBC球を手に若月(左)と話す山本(撮影・井垣 忠夫)
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 【キヨシスタイル】プロ野球のキャンプが始まり宮崎、沖縄からいろんなニュースが届いている。今年は3月にWBCが控えているから、代表選手の情報が盛りだくさんだ。

 そんな中、驚くのはオリックス・山本由伸の投球フォーム改造。左足を上げ、ためをつくって体重移動していく従来のフォームから、走者を一塁に置いたときのクイック投法のようなすり足で体重移動していくフォームに変えている。

 壁にぶち当たっている投手なら分かるよ。でも、由伸は昨季、プロ野球史上初となる2年連続投手4冠に輝いた。沢村賞も2年連続でもらっている。侍ジャパンの大エースが、あえて新しいフォームにトライしてるんだ。

 なぜこの時期にギャンブル性の高いフォーム改造をする必要があるのか。最初はとりあえずやってみてすぐ元に戻すのかなと思っていたけど、そんな雰囲気じゃない。

 キャンプ中継の映像を見たら、足を上げないでも弓を張ったトップの形はこれまでと一緒。1球投げるたびにタブレット端末を見てチェックしていた。回転数なのかな。これで球威が落ちないのなら確かにメリットはある。

 スムーズな体重移動。投球動作に入ってから流れが途切れることはないから、下半身をはじめ体への負担が軽減される。由伸は昨季、左脇腹を痛めて日本シリーズ第6戦の先発を回避したよね。今年はWBCがある分、シーズンが長い。終了後にはポスティングシステムを使って大リーグ挑戦という可能性もある。大事なシーズンを故障なく乗り切るため、より無駄のないフォームを追求しているんじゃないかな。

 バッターの場合は、世界の王貞治さんが代表するように足を高く上げる一本足かすり足かという選択肢がある。私も駒大時代、巨人に入ってからも一本足にしたことがあるけど、全盛期と思える成績を残しているピッチャーがこれほど大胆にフォームを変えるのは見たことがない。

 成功したら画期的。革命が起きると思う。現状に甘んじることなく、さらなる高みを求めてチャレンジを続ける侍エース。今年も全力で応援してるよ。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2023年2月7日のニュース