時の人となったヌートバー カージナルスファンの期待大きく

[ 2023年2月7日 08:00 ]

カージナルスのヌートバー(AP)
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 日系人としては史上初の侍ジャパン入りを果たしたことで、カージナルスのラース・ヌートバー外野手は日本で一躍、時の人となった感がある。実は、その評判の良さは日本だけの話ではない。1月中旬、セントルイスで行われたカージナルスのファンフェスタを現場取材して感じたのは、地元の野球ファン、メディアからもヌートバーの今季にはかなり大きな期待が寄せられているということだ。

 「去年少しだけ(メジャーを)経験したことで、僕への期待は高まったと思う。常に自分に自信はあったが、少し分からない時期があった。去年は少しの成功が経験できたので、今は“やってやる”という気持ちだよ」

 ツイッターをやっていないというヌートバーだが、セントルイスの人々とのやり取りから自身への注目度の高さは感じているのだろう。
 全米的には無名の存在だった日系人外野手は、昨季の成績も打率・228、14本塁打と一見すると特筆すべきものではないように思える。ただ、昨年の後半戦(オールスター以降)では200打数で10本塁打、出塁率・366、OPS・846と中ブレーク。中でも後半戦の四球率16・7%はメジャー全体でも4位だった。

 昨季のBABIP(インプレー打率)は・248と運に恵まれていたわけではなく、これだけの数字を残したことは特筆される。外野守備でもセンターも務まるほどの好守、強肩まで考慮すれば、評価が高まるのは必然。それらの背景から、一部の地元メディアはヌートバーが今季はリーグ最高級のカージナルス打線をリードオフマンとしてけん引し、オールスター候補になるとすら予想している。

 「僕はまだパフォーマンスを見せ続けなければならない。ラインアップ(攻撃陣)を助けることができるようになりたいし、他の選手たちのプレッシャーを軽減できる選手になりたい。みんなの期待はちょっと高いけど、それも僕の僕自身への期待値よりは高くはないことを約束したいと思う」

 そう語るヌートバーは外野のレギュラーが予定される今季、セントルイスの「ヌートマニア」を満足させるだけの働きができるかどうか。

 重要なシーズンのスタートとして、WBCは舞台としては申し分ない。早くから実践を経験し、良い状態でシーズンに臨める可能性は高いだろう。甘いマスクまで兼ね備えた25歳にとって、2023年は長く充実した一年になりそうな予感が漂ってきている。(杉浦大介通信員)

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2023年2月7日のニュース