市船橋 15年ぶり甲子園で「市船ソウル」森本ツインズ躍動!弟・哲星180球完投、兄・哲太ランニング弾

[ 2022年7月28日 04:30 ]

第104回全国高校野球選手権千葉大会決勝   市船橋13-6木更津総合 ( 2022年7月27日    ZOZOマリン )

<市船橋・木更津総合>甲子園出場を決め歓喜の市船橋ナイン(撮影・村上 大輔)
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 スタンドから青空に響き渡るメロディーに背中を押された。市船橋の森本哲星(てっせい=3年)が180球目、112キロのチェンジアップで最後の打者を遊飛に打ち取る。「気持ちで最後まで投げることができた」。両軍合わせて35安打19得点の乱打戦を完投で制した左腕は、日焼けした頬を緩めた。

 7回まで6―5の接戦。8回はブラスバンドの演奏でナインの「魂」に火がついた。17年にがんで急逝した吹奏楽部OB・浅野大義さん(享年20)が母校のために残した楽曲。このチャンステーマが「市船ソウル」だ。2死一、二塁から哲星が左越え2点二塁打を放つなど一挙4得点で突き放し大勢は決した。

 「あの曲が流れると点が入る。何かあると感じる」と哲星。9回は双子の兄・哲太(てった=3年)も中越えにランニング本塁打を放って弟を援護した。野球を始めた小学3年生時から「兄弟で甲子園に行こう」と声を掛け合ってきた仲。強豪ひしめく千葉を制し、その夢をかなえた。

 浅野さんの実話をもとにした映画で5月に公開された「20歳のソウル」は野球部員も観賞。気合を入れたナインは岩崎(現中日)らを擁した07年以来、15年ぶり6度目となる夏の甲子園を決めた。同校OBでもある海上雄大監督(40)も「皆さんの後押しがあった結果。映画も凄くいいタイミングだった」と感慨深げだ。

 コロナ下の入場制限で2年間、応援を封印された吹奏楽部の思いにも応えた。「市船ソウルを甲子園に響かせたい」と哲星。聖地でもスタンドと一体となって、頂点を目指す。(君島 圭介)

 《吹奏楽部も感謝》市船橋の吹奏楽部も3年分の思いをぶつけた。フルート担当の山田千裕部長(3年)は「コロナ禍で入学した私たち3年生には最初で最後のスタンド応援。野球部に感謝の気持ち」と喜んだ。部員122人で同部も強豪で昨年も全日本マーチングコンテスト銀賞に輝いた。山田部長は「市船ソウルは一番、大事な曲」と甲子園デビューを心待ちにした。

 ▽市船ソウル 市船橋に受け継がれる応援曲のタイトル。在学中に作曲した同校OBの浅野大義さんは17年にがんのため20歳で亡くなり、浅野さんと市船橋吹奏楽部の絆を描いた映画「20歳のソウル」が今年、上映された。浅野さん役を演じたのは神尾楓珠でトロンボーン、ピアノの演奏もこなし、恩師だった高橋健一先生役は佐藤浩市。原作は中井由梨子さんによって18年に書籍化された。

 ▼木更津総合・五島卓道監督 越井中心のチームなので、調子が悪いと苦しい。打線は頑張った。

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