京都国際・森下、決勝2ラン&6回1失点「暴れ回りたい」開幕前日に辞退した選抜の分まで完全燃焼だ

[ 2022年7月28日 06:00 ]

第104回全国高校野球選手権京都大会決勝   京都国際6―1龍谷大平安 ( 2022年7月27日    わかさスタジアム京都 )

<龍谷大平安・京都国際>4回無死一塁、逆転の右越本塁打を放った京都国際・森下がガッツポーズをする(撮影・岸 良祐)
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 第104回全国高校野球選手権大会(8月6日から17日間、甲子園)の出場校を決める地方大会は27日、各地で行われた。12大会で決勝が行われ、京都大会では新型コロナウイルス集団感染のため今春の第94回選抜高校野球大会への出場を辞退した京都国際が龍谷大平安を下して2年連続2度目の夏切符。今秋ドラフト上位候補左腕の森下瑠大(3年)が今夏初先発で6回1失点と好投、打っては決勝2ランを放った。大阪大会では大阪桐蔭、履正社などが4強入りを決めた。

 最初から最後までずっと笑顔だったのは、最高の舞台でプレーできることが心の底から楽しかったから。京都国際・森下は2年連続の夏切符を手にした瞬間、この日一番の笑顔で右翼からマウンドへ駆け寄り、仲間の輪に加わった。

 「選抜で悔しい思いをして、夏にかける思いは他のチームより絶対上だと思っていた。甲子園に行けるという思いがこみ上げてきました」

 満を持しての今夏初先発。先頭打者本塁打を浴びたが、千両役者は動じない。真骨頂は1点劣勢の4回無死一塁。2球目の高め直球を右中間最深部の芝生席に放り込んだ。高校通算21号は、逆転の決勝2ラン。投球では「30%」の出来でも直球主体で強気に攻め、6回4安打1失点にまとめた。3―1の7回1死二、三塁では左前適時打。以降は右翼へ回り、歓喜の瞬間を迎えた。

 今春選抜では開幕前日に、新型コロナウイルス集団感染で辞退。「どうして自分たちがこんなことに」とショックを受けた。自身も後遺症などで古傷の左肘の状態が上がらず、5月3日の今春府大会1回戦・日星戦から、今夏準決勝の乙訓戦まで実戦登板なし。“森下頼み”だったチームを変えたのは、自分たちの代替校として出場し準優勝した近江との6月8日に行われた練習試合だった。主将で「3番捕手」の辻井心(3年)は言う。「全員で束になって戦うベンチの雰囲気を学ばせてもらった」。以降は小牧憲継監督の指示を待つ前に、選手だけで円陣を組むようになった。近江の存在が、京都国際に再び、前を向かせた。

 森下は試合終了後のグラウンドで、重圧から解放されむせび泣く辻井を熱く抱きしめた。ベンチ裏でナインの涙を見ていると「勝手に涙が出てきました」ともらい泣きした。「やっと自分たちの代で甲子園に立てる。投球でも打撃でも、暴れ回りたい」。残酷な春、そして雌伏の時。全てはこの時のためにあったのだと胸を張るために、2大会分の思いを全身全霊でぶつける夢舞台が待っている。(北野 将市)

 ◇森下 瑠大(もりした・りゅうだい)2004年(平16)9月19日生まれ、京都府福知山市出身の17歳。昭和小1年から昭和ガッツで野球を始め、南陵中では福知山ボーイズでプレーし、全国大会出場。京都国際では1年秋から主戦。2年時に春夏連続で甲子園に出場して夏4強。1メートル79、76キロ。左投げ左打ち。

 ▼京都国際の今春選抜大会辞退 宿舎入り前の3月14日に実施したPCR検査で、チーム31人中8人が新型コロナウイルスの陽性判定。16日に再検査を行い、開幕前日の17日朝には、さらに5人の陽性が判明した。集団感染と判断されたことで、京都国際は同日午後4時に大会本部へ辞退届を提出し、受理された。代わりに近畿地区補欠1位校の近江(滋賀)が出場した。

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