【元NPB審判員記者の目】選手と審判員には「一蓮托生」でゲームをつくりあげる責任がある

[ 2022年5月15日 20:22 ]

パ・リーグ   ロッテ5─8オリックス ( 2022年5月15日    京セラD )

<オ・ロ>2回、レアード(左奥)に退場を告げた白井球審(撮影・北條 貴史)
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 ロッテのブランドン・レアード内野手(34)が15日、オリックス戦で球審への暴言により退場処分を受けた。2回に見逃し三振に倒れた際、白井一行球審の判定に抗議し、前日の井口資仁監督に続く暴言での退場となった。4月24日に白井球審が佐々木朗希投手に詰め寄った騒動から始まった遺恨について、元NPB審判員の柳内遼平記者が要因を挙げた。

 コロナ禍が生んだ騒動ともいえる。トラブルのあった審判員がチームと「和解」する手段の一つに、試合前の打撃練習に参加する方法がある。打撃ケージに入って投球判定を行い、選手や首脳陣とコミュニケーションを取って「雪どけ」させるのだ。だが、現在は感染予防のために禁止に。また、非常時に感染拡大を止めるため、審判団が同じメンバー5人で固定する「クルー制」となった。当初は移動のリスクも避けるため、担当する地域もほぼ固定されていた。事前に「またあの審判団か」と予想され、周囲の注目度も増す。

 今度はロッテ側が公認野球規則を読むべきだ。「朗希騒動」を受けて、NPB審判員は規則書の「審判員に対する一般指示」を再確認した。そこには「感情を捨てて自制することが、いちばん大切なことである」と記載がある。この日、白井球審はレアードに警告を与えた上で、退場を宣告する冷静な対処をした。一方、ロッテ側はどうか。前日の試合後にエチェバリアは自身のSNSで審判員への中傷とも取られかねない内容を投稿した。現在は削除され確認できないが、海外サッカーなど他競技では連盟が処分を下した例もある悪質な行為だ。規則書冒頭の「はしがき」にはこう記されている。「野球の地位の向上のため、決意を新たに一致団結していかなければならない」と。ファンはプレーを見に来ている。選手と審判員には「一蓮托生(いちれんたくしょう)」でゲームをつくりあげる責任がある。(アマチュア野球担当・柳内 遼平)

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