使用開始1カ月「ピッチコム」は投げることに集中できると好評 「ボタンをカスタマイズ」提案も

[ 2022年5月15日 09:51 ]

投手のかぶる帽子のスピーカーに球種とコースの音声が流れる「ピッチコム」(AP)
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 捕手が前腕に装着した機器のボタンを押し、投手のかぶる帽子のスピーカーに球種とコースの音声が流れる「ピッチコム」。開幕から1カ月が経ったが、徐々に浸透しているようだ。スポーツ専門局ESPNが報じた。

 レンジャーズのクローザー、バーローはスピーカーで帽子がかぶりにくくなるとか、観衆の大声援で音がかき消されるなど危惧していたが、今は使う方が良いと言い切る。「これまでは連打されたら、自分のボールが悪いのか、フォームに癖が出ているのか、あるいは相手がサインを盗んでいるのかと悩まねばならなかった。今は全て自分の責任だとはっきりしている」と説明する。

 ヤンキースとレンジャーズの投手陣は全員使っていて、ヤ軍のリリーバー、キングは「みんな気に入っている。捕手にはもっと早く、ボールを投げ返した直後に球種を告げてもらいたい。球種を早く頭に入れて自信を持って投げたい」と言い、防御率1・59と好調だ。投手以外に、二塁手、遊撃手など、3人の野手も受信機を付けるが、レンジャーズのユーティリティー内野手ミラーは「以前は捕手の出すサインを見逃すことがあったが、それがない。打球に備えやすい」と歓迎する。

 一方で、使用しない投手もいる。ホワイトソックスのグレーブマンは「春のキャンプで実験した時、球種が伝わるのが遅いと感じた。以来試していない」と明かす。ブルージェイズの先発投手マノアは絶対に使わないと断言。「自分はゲームを早く進めるために投げているのではなく試合に勝つためだ。ペースが早すぎて打者が頻繁に打席を外すのもどうか」と指摘する。とはいえこういった投手は少数派になりつつある。そしてより使いやすくするためのアイデアが出ている。ブルージェイズのコリンズ捕手は投手によって球種が異なるので、ボタンをカスタマイズして欲しいと提案。「ナックルが入っているけど、ナックルを投げる人は少ないので」と話した。

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2022年5月15日のニュース