手違いでジャパンナイトに総領事が始球式できず “親日”メッツの丁寧な対応期待

[ 2022年5月15日 07:40 ]

メッツ元監督のボビー・バレンタイン氏がメッセージを寄せた(撮影・杉浦 大介通信員)
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 ニューヨーク・メッツの本拠地シティ・フィールドで13日に行われた「ジャパンナイト(Japanese Heritage Night)」は、なかなか盛りだくさんだった。

 前売りの段階で桜の模様などを象った限定キャップがもらえる1500枚の限定チケットが売り出され、当日は日本政府、企業、団体の代表が招待された。セーラームーン(?)のコスプレもフィールドに現れるなど、様々なイベントが盛り上がった。

 ハイライトは「レジェンド」たちからのメッセージ。試合開始前と終盤、日本ハムの新庄剛志監督、メッツやロッテで指揮を執ったボビー・バレンタイン氏、元ヤンキースの松井秀喜氏と、ニューヨークに縁の深い3人のスピーチが大型スクリーンで流され、日本人以外の野球ファンからも大きな歓声が上がった(一番人気は松井氏。ごく一部からのブーイングもリスペクトの裏返しだろう)。

 メジャーの長いシーズンでは、各チームがさまざまなテーマを設けて試合を開催するのが恒例。「スターウォーズナイト」「ドッグデー(飼い犬との同伴OK)」「プライドナイト(同性愛者の誇りを称える)」などがポピュラーだが、日本文化をフィーチャーした「ジャパンナイト」も決して珍しくはない。それでも、今回ほどさまざまな趣向が凝らされたのは初めてだったかもしれない。

 日本の「野球伝来150年」と、翌14日にセントラルパークで行われる史上初のジャパン・パレード開催を記念するという趣旨が明確だったのが大きかったのだろう。球場に足を運んだファンは満足して家路についたのではないか。

 ただ、唯一、残念だったのは、試合前、森美樹夫・在ニューヨーク総領事が始球式を務めるはずが、先発投手だったマックス・シャーザーの投球練習と重なってしまったために行われなかったことだ。森総領事はボールを投げる機会がないまま、フィールドを小走りに出る羽目になってしまった。

 これに関して、メッツ側は後に「始球式のタイミングが混乱する内部事情があった」と既に謝罪している。シャーザーは試合当日は緊張感と集中力を最大限に高める投手。森総領事の姿が目に入っていたとしても、ないがしろにするような意図はなかったはずで、実際に単なる手違いに違いない。ただ、それでも昨今の米国では人種関連が重要な問題になっていることもあり、より正式な謝罪と何らかの形での埋め合わせの対応が望まれるところではある。

 もともとメッツは日本との関係が深い。現役時代の新庄監督の他にも、松井稼頭央、野茂英雄、松坂大輔、五十嵐亮太、吉井理人、高橋尚成、柏田貴史、青木宣親、高橋健、小宮山悟、石井一久、高津臣吾と過去にプレーした日本選手は計13人に上り、マリナーズ(11人)、ドジャース(9人)などを上回っての最多。そんな背景から、日本選手、日本メディアの扱いをよく心得たチームとの印象がある。

 筆者はニューヨーク在住ということもあって取材機会が多く、さまざまな形で便宜を図ってもらってきた。盛りだくさんの「ジャパンナイト」も、メッツだからできたと言えるのではないか。そんな「ジャパン・フレンドリー」なチームだからこそ、今後の関係まで考え、今回の件でも丁寧かつ誠意のある対応に期待したい。(杉浦大介通信員)

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