サイクル超え!!阪神・中野 人生初の1試合2発 9回に再挑戦も遊飛「狙っていた。欲を出しすぎた」

[ 2022年5月15日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神9-2DeNA ( 2022年5月14日    横浜 )

<D・神>3回、中野は2ランを放ちナインと笑顔でハイタッチ(撮影・平嶋 理子) 
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 阪神・中野拓夢内野手(25)が14日のDeNA戦で2年目で初の4安打4得点で猛攻を呼んだ。特に三塁打でサイクル安打達成だった6回は右越え3号で“サイクル超え”。1試合2本塁打も初めてだった。4打点は4月24日のヤクルト戦と並んで自己最多。昨季わずか1本塁打の男が秘めた力を発揮し、打線低調で2連敗中だった猛虎を大勝に導いた。

 三塁打なら達成だった快挙を“超えた”。二塁打、本塁打、単打で迎えた4度目の打席は7―2の6回2死二塁。中野は宮国の直球を完璧に仕留め、右翼席に3号2ランを突き刺した。サイクル安打を期待された中、想像を超える“離れ業”に歓声とどよめきの両方が交わった。

 「人生で一番、手応えがありました。自分が一番驚きました。思い切りの良さが、いい結果につながったんじゃないかなと思う」

 初回無死一塁は右中間二塁打の好機拡大で先制点につなげ、3回無死二塁では4月24日のヤクルト戦以来、14試合62打席ぶりの2号2ランを放っていた。野球人生を通じて1試合2発は初めてだ。

 少年時代は本塁打に縁もゆかりもなかった。中学卒業時は1メートル50にも満たない身長。道を歩いていても「僕、何年生?」と声をかけられることも度々あったという。中学時代に在籍した山形リトルシニアでは本塁打どころか外野まで打球が飛ばず、当時の監督から「絶対に引っ張るな」と指示された。

 試合に出てもバント要員。対戦チームの保護者からの「あの子、小さいね」という心ない声が耳に入るたび、反骨心に変え、自宅では毎日の素振りなど自主練習に努めた。あれから約10年。いまもプロでは小柄な部類に入る1メートル71、68キロの体にパンチ力を秘める。

 9回の再挑戦は遊飛。「ヒットを打った延長線上が三塁打になればいいかな…くらいの感覚で狙ってはいた。欲を出しすぎてしまった」。サイクル安打を逃して頭をかいても、貢献は色あせない。4安打4得点4打点の「4並び」。最近8試合で1試合平均1・25得点に沈んでいた打線を活気づけた。

 打率はちょうど3割。3月27日以来の大台を回復した。横浜スタジアムは昨季から通じて通算打率・388の好相性を誇る。振り返れば、新人だった昨季のプロ初スタメンが4月10日の同じ横浜。レギュラー定着への出発地だった。「いい印象を持っている。非常にいい球場だなと」。9得点での快勝。今度こそ猛虎逆襲の起点にしたい。(長谷川 凡記)

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2022年5月15日のニュース