侍ジャパン・栗山監督 日本ハム・今成スカウトを悼む 愛情で能力を見抜く人

[ 2022年3月4日 05:30 ]

故人をしのんだ侍ジャパンの栗山英樹監督
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 日本ハムは3日、今成泰章(いまなり・やすあき)スカウトが「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」で2日に埼玉県内の病院で死去したと発表した。66歳だった。駒大卒業後にスカウトとして入団した阪神では和田豊、桧山進次郎、日本ハムではダルビッシュ有(現パドレス)、大谷翔平(現エンゼルス)らを担当した。昨季までの10年間は日本ハム監督とスカウトの間柄だった侍ジャパンの栗山英樹監督(60)が故人をしのんだ。

 今成さんからは本当に多くのことを教わった。アマ選手の評価は、データや数値など分析の方法が凄く進化してきている。そんな中でも正確な分析、プラス、最後は人の目が重要になる。愛情を持って実際に見ている人にしか分からないものがあるし、そういうものが大事。現場で、スカウト会議で、今成さんとはそういう話をよくしていた。

 ある選手のたった一つのしぐさ、たった一つのプレーに対しての思い込み、誰も見ていないところでのランニングの仕方とか…。スカウトの胸に突き刺さる人としての在り方みたいなものから「この選手は何かできる」と感じ取る。データなどに基づく分析と、そうした人の思いとの掛け算が大事なんだ、と。選手の見方を教えてもらった。日本ハムはスカウティングと育成のチーム。今成さんの経験値と目、そして心に感じるものは本当に重要で、チームの根幹をつくってもらった。

 スカウト会議に出ると、その言葉から選手への愛情、心底ほれ尽くしているのが伝わってきた。「この選手は絶対に世界一の選手になる」と、それくらいの思いで熱く語っていたのを思い出す。どんな指導方針があっても、素材が良くなければ育成は難しい。チームの根幹を担うのがスカウト。担当したのはダルビッシュや上沢。近年では、野村はドラフト時はそれほど目立つ存在ではなかったが、こうして早い時期から力を発揮している。

 大学から直接、スカウトとして阪神に入団した希有(けう)な存在。プロのスカウトの道を極めてこられた。本当に多くを学んだし、監督としてたくさん勝たせてもらった。今は感謝しかありません。でも、もっと教えてもらうことがありましたよね。何の恩返しもできなかったのが悔しい。今成さんの、選手を信じて期待をかける思いを受け継いでいきたい。ご冥福をお祈りします。(前日本ハム監督) 

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2022年3月4日のニュース