肩の筋肉「三角筋」の筋トレとストレッチ、効果的な鍛え方[トレーナー解説]

[ 2024年5月25日 09:00 ]

ボディメイクに欠かせない筋肉の一つ「三角筋」。今回は、肩の筋肉「三角筋」について解説し、おすすめの筋トレとエクササイズ効果を高めるポイントを紹介します。

解説は、プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当する、日本トレーニング指導者協会(JATI-ATI)認定トレーナー・和田拓巳さんです。

三角筋とはどこの筋肉?

三角筋は、体幹部と腕をつなげる肩関節の上に覆うように付着している肩の筋肉です。

三角筋は、上半身の筋肉の中でもっとも大きい筋肉のため、筋肥大をさせることで上半身の印象をガラっと変えることができます。

三角筋の働き。前部・中部・後部で役割が異なる

三角筋は前部・中部・後部と3つに分けることができ、付着部や働きが異なります。

  • 前部

鎖骨~上腕骨に向けて付着しています。腕を前に上げたり、腕を内側に捻ったりする際に力を発揮します。

  • 中部

肩峰から上腕骨に向けて付着しています。腕を真横に上げる際に力を発揮します。

  • 後部

肩甲骨~上腕骨に向けて付着しています。腕を後ろに上げたり、腕を外側に捻ったりする際に力を発揮します。

三角筋を鍛えるメリット。三角筋を鍛えるとどんな効果があるの?

三角筋を鍛えることで、どのような効果を得ることができるのでしょうか? ここでは三角筋を鍛えるメリットを紹介します。

大きい肩を作る

三角筋は大きい筋肉なので、筋肥大させることで、一目でわかるくらい上半身の逞しさをアピールすることができます。

女性の場合は、筋肥大しにくいので、引き締まったシャープな肩を作ることができます。

逆三角形の上半身を作る

三角筋が大きくなることで、肩幅が広くなり、逆三角形のボディラインを作ることができます。

女性の場合は、三角筋が大きくなると、ウエストラインや二の腕を細く見せる効果があります。

肩関節の安定性を高める

肩関節を覆う三角筋を鍛えることで、肩関節の安定性を高めます。

とくに競技スポーツでは、三角筋を鍛えることで、パフォーマンスの向上や、肩のケガのリスクを低下させることができます。

日常生活での動作が楽になる

高いところに荷物を持ち上げる、物を押す動作など、三角筋を鍛えることで日常生活の中でも楽になる動作がたくさんあります。

また、三角筋を鍛えることで肩回りの血行が良くなり、肩こりや肩のだるさ改善にもつながります。

家で簡単にできる! 効果的な三角筋の筋トレ3選

今回は、自重で手軽に取り組める三角筋のエクササイズを3つ紹介していきます。

パイクプレス

1.四つん這いの姿勢になります。手幅は拳2個分外側になるように広めにつきます

2.肘と膝をまっすぐに伸ばして頭を低くし、上体が斜めになるようにします

3.肘を曲げて体を下していきます。この時、肘を横に開くようにしましょう

4.下ろせるところまで行ったら、肘を伸ばしていき、2の姿勢に戻ります

5.この動作を繰り返し行います

肘を横に曲げるように意識しながら行いましょう。上体が垂直に近くなるほど、三角筋への刺激が増えます。体力に合わせて調整しましょう。

アイソメトリクスエクササイズ

1.肘を曲げ、胸の前で、親指以外の両手の指同士をひっかけます

2.両手の指同士を離さないように、外側に引っ張り合います

3.力を入れた状態で10秒キープします

4.組んだ手の上下を入れ替え、同様に行います

アイソメトリクスのエクササイズは、力の入れ具合で強度が変わります。できるだけ全力で10秒間引っ張り合ってみましょう。その際、呼吸も忘れずに。

ディップス

1.両手をそれぞれ別の椅子につきます

2.椅子で体を支え、体を持ち上げます。膝を曲げて後ろで組み、体を安定させましょう

3.肘を曲げながら体を下ろしていきます

4.下ろせるところまでいったら、肘を伸ばしていき、元の姿勢に戻ります

5.この動作を繰り返します

エクササイズを始める前に、椅子がぐらつかないように確認してから行います。動作中もバランスを崩さないように、十分注意しましょう。

可動域をできるだけ広く使えるように、高めの椅子を使うと動作がやりやすくなります。

三角筋を効果的に刺激するポイントと注意点

ここでは、三角筋を効果的に鍛えるポイントを解説していきます。

三角筋の前部・中部・後部によってエクササイズの選択が異なる

三角筋の前部・中部・後部を刺激するエクササイズは、それぞれ異なります。

行うエクササイズが三角筋の前部・中部・後部のどこを刺激するのか意識し、その部分に負荷がかかっているかどうかを、しっかりチェックしながら行いましょう。

また、同じエクササイズばかりではなく、前部・中部・後部のエクササイズを取り入れ、三角筋全体を刺激すると、大きくバランスの良い肩を作ることができます。

可動域を最大限に動かす

関節の可動域は、できるだけ最大限動かすようにしましょう。関節可動域が狭いことで、十分な刺激を与えられず効果が低くなってしまいます。

筋トレ効果は「筋肉の柔軟性」と「関節可動域の広さ」で変わる

また、関節可動域を大きくつかっても、反動を使ってしまうと負荷が逃げてしまいます。可動域全体の動作スピードをコントロールしながら行いましょう。

戻す動作を意識する

トレーニングでは、ウエイト(重り)を下ろしていくときも重要です。力を抜いて勢いよくウエイトを下ろしてしまうと、刺激が少なくなるだけでなく、ケガのリスクも高まります。

ウエイトを下ろすときは急に力を抜かず、ゆっくり下すと効果が高まります。

プロがおすすめする三角筋を追い込むメニュー

三角筋を鍛えるためには、他のエクササイズ同様、多関節運動×高負荷×低回数をトレーニング前半に、短関節運動×低~中負荷×中~高回数を追い込みとしてトレーニング後半に行うとよいでしょう。

トレーニング前半=多関節運動×高負荷×低回数

  • ダンベルショルダープレス × 5~7rep
  • アップライトロウ × 5~7rep
  • ディップス × 5~7rep

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トレーニング後半=短関節運動×低~中負荷×中~高回数

  • フロントレイズ × 10~12rep
  • サイドレイズ × 10~12rep
  • ベントオーバーリアレイズ × 10~12rep
  • マシンショルダープレス × 10~12rep

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高重量を扱う場合は両手で、意識して行う場合は片手ずつ

ダンベルショルダープレスやサイドレイズなど、三角筋のトレーニングの多くは、両手を同時に動作するエクササイズがメインです。

両手同時に動作をすると、左右の筋力差や癖によって、「左側は余裕だけど、右側はキツくて動作が継続できない」という場合も。これでは左右のバランスがどんどん崩れてしまいます。

その場合、ダンベルを活用し、片手ずつ動作を行ってみましょう。片手ずつ行うことで、筋力差に関係なく両方をしっかり追い込むことができます。

三角筋の筋トレ後におすすめのストレッチ

筋トレを行ったら、しっかりケアも行いましょう。ここでは三角筋のストレッチを紹介します。

1.片腕をまっすぐ前に伸ばし、肩の高さまで持ち上げます

2.反対側で伸ばした腕の肘を持ち、胸に近づけていくように引きつけていきます

3.肩が伸びる感じがしたら、そのまま20秒間キープします。反対側も同様に行いましょう

三角筋を筋肥大させる食事・サプリメント。プロテインやアミノ酸を活用しよう

トレーニング後は、しっかり栄養を補給しましょう。栄養が不足していれば、トレーニングの効果も半減してしまいます。

筋肥大のためには、「たんぱく質」をしっかり摂取しているかどうかが重要。筋肥大を目指すなら、体重1kgあたり2gを目安に、1日を通してしっかりたんぱく質を補給しておくようにしよう。

沢山食べられない人は、プロテインやアミノ酸を活用するのがおすすめ。間食などに摂取することで、効率よくたんぱく質を補給することができます。

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著者プロフィール

和田拓巳(わだ・たくみ)

プロスポーツトレーナー歴22年。プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療院や競技チーム帯同で得たケガの知識を活かし、リハビリ指導も行う。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・スポーツ・トレーニングに関する講演会・講習会の講師を務めること多数。テレビや雑誌においても出演・トレーニング監修を行う。現在、様々なメディアで執筆や商品監修を行い、健康・フィットネスに関する情報を発信中。2021年 著書「見るだけ筋トレ」(青春出版社)発刊。

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<Text:和田拓巳/Edit:編集部>

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