新十両・勇磨、昇進決定に「ホッとした」入門から9年、昨年秋場所の朝乃山撃破で「自信が付いた」

[ 2023年5月31日 20:11 ]

新十両昇進会見を行った勇磨(左)と師匠の阿武松親方(元幕内・大道)
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 日本相撲協会は31日、名古屋場所(7月9日初日、愛知・ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議を開き、川副改め輝鵬(きほう=24、宮城野部屋)と獅司(26=雷部屋)、勇磨(24=阿武松部屋)の3人の新十両昇進が決まったと発表した。また、紫雷(31=木瀬部屋)と千代の海(30=九重部屋)の再十両も決まった。

 夏場所は東幕下5枚目で5勝2敗。千秋楽で十両の對馬洋に敗れていたこともあり、当落線上にいた勇磨は「気にしていたのでホッとしました」と昇進決定に安どの表情を見せた。

 中学卒業後に入門してから9年。左膝前十字靱帯断裂で番付外に落ちたり、三段目優勝を決めた相撲で左手の舟状骨を骨折したりと、度重なるケガを乗り越えてきた。「相撲が取れない時にどうやって強くなるんだろう?と思って親方に相談しながら基礎をやってきた。応援してくださる方から温かい言葉をもらって、それを信じてずっとやってきた」。努力がついに実った。

 会見に同席した師匠の阿武松親方(元幕内・大道)は「膝や手首のケガで苦労してきたけど、気持ち折れないでよく頑張ってきた」と称えた。また「15歳で右も左も分からないまま入門してきて、先代の師匠(元関脇・益荒雄)がしっかり育ててくれた」と感謝した。この日、勇磨はその先代師匠から譲り受けたという鮮やかな赤色の着物で会見に臨んだ。

 勇磨が一躍有名になったのは、東幕下28枚目で迎えた昨年秋場所の朝乃山戦。出場停止処分から復帰して負けなしの12連勝中だった元大関から“殊勲”の星を挙げた。「それで勢いづいた。自信が付いた」と一気に幕下1桁台まで番付を上げ、半年後には関取の座を射止めた。師匠は、その相撲を見て「かなり力をつけていると思った」という。「ビッグマウスでプロ向き。本番で何かやってくれるんじゃないか」と、物怖じしない勝負強さを評価した。

 勇磨は関取として臨む初めての15日間を「大変だと思うけど楽しみ」と表現。「とりあえず勝ち越したい。そこからまた考えます」と大きな目標は口にしなかったが、堂々の関取デビューを見据えて静かに闘志を燃やした。

 ◇勇磨 猛(ゆうま・たける)本名=中尾勇磨。1998年(平10)6月13日生まれ、大阪府枚方市出身の24歳。枚方市相撲連盟で小5から相撲を始め、中学卒業後に15歳で阿武松部屋に入門。14年春場所で初土俵。17歳で三段目に昇進も、17年九州場所前に左膝前十字靱帯断裂の大ケガを負って4場所連続休場して番付外に転落。18年秋場所、前相撲から復帰。20年初場所で三段目優勝。22年秋場所では、元大関・朝乃山に復帰後初黒星をつける。1メートル78、122キロ。

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