戦火のウクライナから初の関取が誕生 新十両昇進を決めた獅司「もっと頑張って両親を助けたい」

[ 2023年5月31日 14:24 ]

師匠の雷親方と握手するウクライナ初の関取獅司                               
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 日本相撲協会は31日、東京・両国国技館で大相撲名古屋場所(7月9日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議を開き、新十両3人を含む十両昇進力士5人を発表した。

 ウクライナ初の力士として活躍中の獅司(26)=本名セルギイ・ソコロフスキー、雷部屋=は国技館で会見し、「うれしいです。頑張ってきて良かったです」と満面の笑みを浮かべた。2018年に来日し、入間川部屋に入門。所要4場所で幕下に昇進したが「幕下にいる期間がちょっと長かった。みんな強いし、大変でした」と振り返る。今年2月に現師匠(元小結・垣添)が部屋を継承すると「体が太った」と体重が15キロも増えパワーアップ。1メートル93、175キロの恵まれた体重を武器に前に出る相撲が増えた。自己最高位の西幕下2枚目で迎えた夏場所で6勝をマーク。夢だった関取の座を射止めた。

 母国はロシアの侵攻を受けており、両親と祖母は故郷のメルトポリで生活。それでも毎日の電話連絡と自身の取組を動画で送ることは欠かさない。昇進が決まると、早速両親に電話。「報告したら、みんなうれしそうでした。いいニュースを届けることができました」と明かした。なかなか両親に会える機会がないが「ウクライナのことは心配です。関取になって、もっと頑張って両親を助けたい」と神妙な表情で話した。

 師匠の雷親方は「強くなるために頑張れるかと聞いたら、はいと返事してくれた。食事も工夫して食べているし、夏場所前は出稽古にいきたいと言ってきた。上がりたいという気持ちが出てきたので大丈夫だと思っていたが、夏場所の6勝はほめてあげたい」と期待を寄せる。
 来日して初めて食べた寿司が大好物で「エビが一番好き、まぐろも大好き。(寿司のネタ)全部好き」という。スケールの大きな取り口は将来性十分で、新十両の名古屋場所の抱負を問われ「勝ち越しを目指して頑張りたい」と抱負を述べた。

 ◇獅司 大(しし・まさる=本名ソコロフスキー・セルギイ)1997年1月16日生まれ、ウクライナ・ザポリージャ州メリトポリ市出身の26歳。15歳から相撲を始め世界ジュニア選手権で3大会連続で重量級3位、2016年の世界相撲選手権でも重量級3位の実績を収めた。18年に来日し入間川部屋に入門。20年春場所で初土俵。師匠の定年に伴い、今年初場所後から雷部屋所属に。1メートル93、175キロ。白米は苦手だが、寿司は大好き。

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