霧馬山 志願出稽古が転機 努力惜しまぬ「真面目な男」

[ 2023年5月31日 04:43 ]

大栄翔(左)と申し合い稽古を行う霧馬山
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 【モンゴル6人目大関 霧馬山 過去・現在・未来 中】入門当時から霧馬山を支えてきた陸奥部屋後援会会長の室谷正明氏は新大関の人間性を「真面目な男。私が見てきたモンゴル人力士の中でも一、二を争うのでは」と評する。強くなるためには努力を惜しまない。師匠の陸奥親方(元大関・霧島)から関取になるまでモンゴルに帰らせないと厳命された霧馬山は、「強くなって親孝行」の思いを胸に稽古に明け暮れた。稽古場に下りるのは番付が幕下になっても一番最初。「十両になっても一番早かったこともあった」と師匠は明かす。若手時代は豊昇龍と壮絶な申し合いを繰り広げ、途中で互いに悔し涙を流すこともあった。

 転機は22年6月に訪れた。コロナ禍で禁止されていた出稽古が解禁され「南船北馬」のごとく他の部屋に出向いた。直後の名古屋場所で勝ち越して小結に復帰。小結での3場所を負け越しなしで務めると、今年2月には珍しく師匠に懇願した。「追手風部屋に行きたいです」。お目当てはライバル大栄翔。部屋のある両国から埼玉県草加市までは20キロある。大きな体を小さくして、軽自動車に乗り込み、部屋所属の若者頭、福ノ里(元十両)の運転で向かった。

 成果は早速春場所で出た。千秋楽に大栄翔に連勝し初の優勝。陸奥親方が「昭和の力士」と称するほどの猛稽古が実を結んだ。

 入門当時「幕内、三役くらいは黙っても行く」と漏らしていた師匠は最近、親しい関係者にこう話したという。「ひょっとしたら、定年(来年4月)を迎えるまでに横綱になるかもしれません」 

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