【玉ノ井親方 視点】大栄翔“不安”を打ち消す威力のある立ち合い

[ 2023年5月19日 16:28 ]

大相撲夏場所6日目   ○大栄翔(押し出し)豊昇龍● ( 2023年5月19日    東京・両国国技館 )

豊昇龍(右)を押し出しで下す大栄翔(撮影・久冨木 修)
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 突き押し相撲はツラ相撲になりやすいと言われる。だが、黒星にも2パターンがあって、後に引きずるものとそうでないものがある。

 大栄翔は前日の阿炎戦で初日からの連勝を4で止められた。ただ、土俵際で相手にうまく回り込まれての逆転負け。阿炎の立ち合いの変化にも素早く対応し、主導権を握って攻め続けていただけに尾を引く負けではなかった。

 この日の豊昇龍とは過去8戦5敗と相性は良くなかった。だが、そういう不安を打ち消す威力のある立ち合いを見せた。下から相手の上体を起こすと、そのまま前に出て押し切った。
 見方を変えれば、豊昇龍はまともに正面から受けすぎた。まわしを取って勝負したかったのであれば、もっと横からいなすとか、まわしを探りにいくような動きを見せないと、大栄翔の強烈な当たりと下からの突き上げに対処するのは難しい。

 大栄翔は先場所、決定戦で霧馬山に敗れ、2度目の優勝のチャンスを逃した。その悔しさが今場所の糧になっているのは間違いないだろう。2年前の初場所で優勝して以降、一時、腰に不安を抱え調子を落としたこともあった。故障を抱えていると足がなかなか出なくなるが、今場所は体調も良さそうだ。場所前の稽古も十分にできていたと聞く。

 3場所前の初場所は前頭筆頭で10番勝った。今場所は大関獲りの足場固めの場所。中盤から後半戦に向け、もっと鋭い当たりと前に出る動きが出てくればチャンスは広がる。
 (元大関・栃東)

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