元大関・栃ノ心が引退会見「頑張ればいいことあると思ってやってきた」ジョージアからの声援を思い出し涙も

[ 2023年5月19日 15:31 ]

引退会見で涙ぐむ栃ノ心
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 現役引退を発表した元大関で東十両5枚目の栃ノ心(35)=本名レバニ・ゴルガゼ、ジョージア出身、春日野部屋=が19日午後、東京・両国国技館で会見し「2023年5月19日、引退することを決めました。ここまで皆さん、ありがとうございました。1月場所で肩をけがして、そこから自分の相撲が取れなくなって相撲を取るのが怖くなった。残念ですけどファンの皆さんにこういう相撲を見せるのがちょっと恥ずかしいかなと思って決めました」と話した。

 ジョージア出身で右四つから怪力を生かした攻めで優勝1回。大関は7場所務めた。「何も知らないなかで相撲の世界に入って、いい時も悪い時もあったが、相撲がやれて感謝しています。大関というひとつの夢をかなえた」と17年間の力士人生を述懐。母国ジョージアの応援の話題になると「本当に感謝の言葉しかないですね」と目に涙を浮かべ、言葉を詰まらせた。

 ケガとの闘いも多く波瀾万丈の力士人生だった。右膝の大けがで幕下下位まで転落したが「頑張ればいいことがある」との師匠、春日野親方(元関脇・栃乃和歌)の言葉に「相撲に対する考え方が変わった」と奮起。18年初場所では平幕で初優勝。同年夏場所後に欧州出身では琴欧洲、把瑠都に次いで3人目の大関となった。しかし、19年九州場所で2度目の陥落すると、今年初場所で左肩を負傷。夏場所前には、どの角度でまわしを引けば力が出るかなど師匠と再起の道を探ったが、今場所は初日から5連敗。18日夜と19日朝に師匠と話し合い、引退を決断した。一番の思い出は18年初場所14日目、同期入門の松鳳山に勝って初優勝を決めた1番。一番負けたくなかった相手には玉鷲を挙げ「いつもいい相撲を取れた」と懐かしそうに笑顔を浮かべた。会見にど同席した春日野親方は「私が育てたなかでは一番強かった」と評価。続けた「意外と打たれ弱い面もあったが言えば響くタイプだったし、(指導は)やりやすかった」と振り返った。

 親方になるための日本国籍は取得しておらず、協会には残らないが、今後も日本で生活するという。「何をやるかは決めていないが、ジョージアと日本を行き来して頑張りたい」。師匠も「断髪式(日時未定)までは部屋にいます。稽古もします。もうちょっとこき使います」と話した。

 ◇栃ノ心 剛史(とちのしん・つよし)本名=レヴァニ・ゴルガゼ。1987年(昭62)10月13日生まれ、ジョージア・ムツヘタ市出身の35歳。ジョージアでは相撲、柔道、サンボを経験し、04年世界ジュニア相撲選手権無差別級で3位に。春日野部屋に入門し、06年春場所で初土俵。08年初場所で新十両昇進を果たし同場所で十両優勝。同年夏場所で新入幕。10年名古屋場所で新三役に昇進して幕内上位に定着も、13年秋場所で右膝前十字靱帯断裂などの大ケガを負い幕下55枚目まで転落。復帰後は2場所連続幕下優勝で関取復帰。さらに15戦全勝を含む2場所連続十両優勝で14年九州場所、再入幕。18年初場所で初の幕内優勝を果たし、同年夏場所後に大関に昇進。19年九州場所で大関から陥落し、今年の春場所からは十両の土俵に上がっていた。通算成績681勝614敗106休。幕内成績559勝573敗68休。幕内在位80場所。大関在位7場所。優勝1回。殊勲賞2回、敢闘賞6回、技能賞3回。金星2個。1メートル92、176キロ。

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