砂村光信氏 帝京大に浸透“岩出前監督の文化” 来季はさらに強くなりそう

[ 2023年1月9日 05:05 ]

第59回ラグビー全国大学選手権決勝   帝京大73-20早大 ( 2023年1月8日    国立競技場 )

<帝京大・早大>2年連続11度目の大学日本一に笑顔で握手を交わす相馬監督(左)と岩出前監督(撮影・篠原岳夫)
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 【砂村光信 視点】早大が準備していた仕掛けでセットプレーから2トライを挙げ、試合は面白くなるかと思われた。だが、帝京大は全く動じず、接点とスクラムでの優位を生かしながら、ややディフェンスが弱い早大SO伊藤やCTB吉村を意図的に狙う攻めで流れを引き戻した。

 帝京大のSO高本幹は、自ら走りながらパスを放るため、攻撃ラインがスピードに乗って前へ上がれる。FWの優位性もあるが、立ったままパスを出す伊藤との違いは明らかだった。しかも、両CTBとラインに残ったフランカー奥井の3人がフラットに走り込んでくるため、早大はディフェンスの的を絞りづらく、上体が浮いたまま手からタックルに行っては突破されていた。早大はスクラム対策として、準決勝までリザーブだった井元を先発させたものの圧倒されてしまい、効果的な選手交代もできなかった。

 春の時点では明大の方がFWは大きく見えたが、帝京大はシーズンに入ると、体の厚みや強さで逆転していた。監督が代わっても選手たちが自主的に考えてフィジカル強化やミーティングに励む姿勢は変わらず、レフェリーともコミュニケーションを取りながら試合を進めるなど、岩出前監督がつくり上げた“文化”がすっかり浸透している。決勝の先発メンバーで4年生は5人だけ。来季はさらに強くなりそうだ。(スポニチ本紙評論家、元U―23日本代表監督)

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