フィギュア三原舞依 「どん底だった」日々を原動力に世界選手権で舞う

[ 2022年12月28日 06:00 ]

全日本フィギュア女子フリーで演技する三原舞依(撮影・長久保 豊)
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 【オリンピアンロードの歩き方】五輪を目指すアスリートや関係者らを取り上げるコラムの今回は、フィギュアスケート女子の三原舞依(23=シスメックス)。長期休養を余儀なくされた体調不良などを乗り越え、今季はGPファイナルで初出場優勝を飾った。不屈のスケーターは来年3月、6年ぶりとなる世界選手権(さいたま)に出場する。

 全日本選手権のエキシビション「メダリストオンアイス」で華麗に舞った後、三原は場内インタビューで世界選手権への思いを語った。「日本開催に出場できることが何よりもうれしくて(代表選手として)名前が呼ばれたときはうれしかった。日本代表として、悔いのない演技、完璧なSP、フリーをしたい」。全日本2位で自身2度目となる世界切符をつかみ、言葉に力を込めた。

 ここまでの道のりは平たんではなかった。昨年の全日本選手権、SP5位から迎えたフリー。中盤のアクセルで回転が抜けるなどミスがあり、4位という結果で五輪切符を逃した。自分への悔しさ、ふがいなさ。「もうダメかな…」という今までにない感情までも抱いた。

 「どん底だった。スケートは好きだけど、滑るのは“うーん”みたいな…」。苦しい時間を過ごしたが、コーチや家族、友だち、そしてファンからの激励や手紙など多くの支えがあって再び前を向いた。「まだまだやらなあかん」――。そんな言葉が胸にわき上がってきた。15―16年シーズンは全身の関節が痛む難病に悩まされ、19―20年シーズンは体調不良で全休。「スケートができる幸せ」も取り戻した。

 今季から使用するSP「戦場のメリークリスマス」。振り付けを依頼したデビッド・ウィルソン氏の「マイの人生を込めてほしい」という言葉を受け、情感たっぷりに演じる。冒頭で膝を持つ場面では、関節が痛かったときを思い返しながら。途中から曲調が盛り上がっていく場面では、復帰を果たしたときの喜びを全身で表現しながら――。

 つらかった日々は今、三原の原動力となっている。世界選手権まで、あと3カ月。さらに強くなった姿を大舞台で披露する。(五輪担当・西海 康平)

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2022年12月28日のニュース