駒大・山野力 雑草魂で第4代「山の神」に名乗り

[ 2022年12月28日 04:55 ]

初の3冠を目指す駒大・山野
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 【箱根の主役へ 2】駒大の山野力(4年)。第4代「山の神」襲名にふさわしい名前だ。初の3冠へ盤石な戦力を誇るチームの主将は「2位以下は見てない。優勝だけを見て戦う」。各学年に日本のトップランナーがそろう最強軍団を束ね上げる男の決意は固い。

 何も隠すことはない。「希望区間は5区です」ときっぱり言う。ハーフマラソン日本学生記録である1時間0分40秒を持ち、エース区間でも十分勝負ができる。だが、最後の箱根路だけは譲れない。「柏原(竜二)さんが5区を走っているのをテレビで見て、それに憧れて陸上の道に進んだ」。山の神、そして、山上りに魅了された少年が、夢の区間に挑む。

 雑草魂を地で行くランナーだ。高校時代は全国的に無名の存在。それでも、全国をスカウト活動で回っていたOBでマラソン元日本記録保持者の藤田敦史コーチ(46)の目に留まった。「走りを一目見て、この選手はもしかしたら伸びるかもしれない」と感じた藤田コーチは、すぐに宇部鴻城高の顧問を口説いた。

 どの大学からも誘いのなかった山野は藤田コーチのラブコールが「素直にうれしかった」と振り返る。スポーツ推薦で入学できる実績はなく、一般入試で名門の門を叩いた。Bチームから成り上がり、2年時には9区6位で箱根駅伝優勝メンバーとなった。今季の出雲、全日本でも優勝に貢献。今では最強チームの支柱だ。

 「4年間しっかり走り込んできた。後半の粘りを見てほしい。区間賞を獲りたい」と山野。順大の今井正人、東洋大の柏原竜二、青学大の神野大地…。駒大の3冠達成とともに、誰もが新たな山の神誕生を望んでいる。

 ◇山野 力(やまの・ちから)2000年(平12)5月22日生まれ、山口県宇部市出身の22歳。中学から陸上を始め、宇部鴻城高2年時に中国高校新人選手権5000メートル優勝。駒大経営学部に入学後、前回の箱根は9区4位。今季の出雲は4区2位、全日本は3区5位。自己ベストは5000メートル13分47秒67。1万メートル28分32秒71。卒業後は九電工に入社予定。1メートル76、58キロ。

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2022年12月28日のニュース