THE BEST SHOT スポニチ・小海途カメラマン 羽生に感謝…被写体として絶対的な信頼感

[ 2022年7月20日 05:25 ]

羽生結弦 プロスケーター転向

2019年世界選手権エキシビションで演技をする羽生(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 羽生に魅せられ、羽生を撮り続けたスポニチ本紙・写真映像部の小海途良幹記者(39)が、膨大な写真の中から渾身(こんしん)の一枚を選択。とっておきの一枚にまつわるエピソードと希代のスケーターへの思いを語った。

 私は被写体としての羽生結弦に絶対的な信頼感を持っている。撮影ポジションがどこだろうと関係ない。彼を信頼してレンズを向け続けていると、必ずいい写真を撮らせてもらえる。それも自分の想定を超える思いがけない写真を。

 この写真はまさにそんな一枚だ。衣装が顔を覆い、彼の顔がレースに透けて見える。幻想的な写真になっている。写真を確認していてこれを見つけた時、鼓動の高まりを抑えられなかった。自分で撮ったのに、自分の力量では撮影できないような写真に思えた。

 羽生選手に声をかけられたことがある。2019年、スケートカナダでのこと。会見を終えて引き揚げる彼が、擦れ違いざまに、あるスケーターの名前を挙げて「写真格好よかったです」と私に話しかけてくれた。不意の言葉に驚き、ただ大きい声で「ありがとうございます」と答えた私は、羽生選手が自分たちカメラマンを認識し、写真を見てくれていることを知った。信頼感がさらに増す出来事だった。

 羽生選手はその被写体としての比類なき魅力で、多くのカメラマンに無数のベストショットをプレゼントしてきた。感謝しかない。この先も彼を信じて付いていこう。その先にはたくさんの美しい写真と美しい羽生結弦が待っている。 

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2022年7月20日のニュース