羽生「胸を張って」プロスケーターの道へ 競技会「穫るべきものは獲れた」第一線退く決断

[ 2022年7月20日 05:25 ]

会見に臨む羽生(撮影・小海途 良幹)
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 フィギュアスケート男子で14年ソチ、18年平昌五輪連覇の羽生結弦(27=ANA)が19日、都内で会見を行い、五輪や世界選手権などの競技会から引退し、プロスケーターに転向することを表明した。4回転半ジャンプが世界初認定された今年2月の北京五輪後に決断。プロアスリートとして今後も4回転半挑戦を継続し、自らにしかできない演技を追求する新たな道へと進む。

 羽生らしさのあふれる会見となった。スーツ姿で会見場に現れると、柔和な表情を浮かべ、147人の報道陣を前に「プロのアスリートとしてスケートを続けていくことを決意しました」と語った。

 今後、競技会に参加はしない。日本連盟は今季の特別強化選手の資格を解除。10月から始まるGPシリーズにも出場しない。シニアで12シーズン、世界のフィギュア界の中心として活躍してきたが、「競技会の緊張感が恋しくなることはない、と言い切れます」と穏やかな表情できっぱり言い切った。

 第一線を退くと決めたのは北京五輪後、右足首負傷の影響で滑ることのできない時期だという。五輪連覇を果たした18年平昌後の4年間、4回転半挑戦などで多くの学びがあった。「競技会に関して、獲るべきものは獲れた」という達成感も、決断を後押しした。

 新たな挑戦を前に高揚感を隠さなかった。北京五輪で世界初認定となった4回転半を降りる姿を、より多くの人に見せたい。羽生にしかできない表現、演技を極めたい。「これからも期待してやってくださいと胸を張って言える」。具体的なプランについては触れなかったが、今後はアイスショーの舞台などで、より多くのファンに勇姿を披露することになる。

 今後、大切にしたい3つのことを問われると、こう応じた。「(4回転半を)成功させられる努力。人間として美しくありたい。勉強を怠らない」。フィールドは変わったとしても、羽生の理想は変わらない。

 ▽プロスケーター 選手が競技会を中心に活動する一方で、プロスケーターはアイスショー中心に活動し、演技を披露する。アイスショーは演技や構成、演出などの自由度が多く、年間を通じて活動できるメリットがある。浅田真央さん、織田信成氏ら、多くの元選手がプロスケーターとして活動中。プロ限定の競技会も行われており、1973~2000年には世界選手権も開催されていた。

 ◇羽生 結弦(はにゅう・ゆづる)1994年(平6)12月7日生まれ、仙台市出身の27歳。4歳でフィギュアスケートを開始。14年ソチ、18年平昌と五輪2連覇。世界選手権2回(14、17年)、GPファイナル4回(13~16年)、全日本選手権6回(12~15、20、21年)制覇など数々の金字塔を打ち立てる。18年に冬季競技のアスリートとして初めて国民栄誉賞を受賞。宮城・東北高―早大。13年7月からANA所属。1メートル72、57キロ。家族は両親と姉。

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2022年7月20日のニュース