田中希実 日本初!女子1500メートルで4分切った 決勝で大仕事の予感「ラスト1周でよーいドンも」

[ 2021年8月5日 05:30 ]

東京五輪第13日 陸上女子1500メートル 準決勝 ( 2021年8月4日    国立競技場 )

 女子1500メートル準決勝 力走する田中希実(手前)。3分59秒19の日本新記録をマークし、決勝進出を決めた=国立競技場
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 陸上女子1500メートルで、田中希実(21=豊田自動織機TC)が3分59秒19の日本新記録で準決勝1組5位に入り、決勝進出を決めた。2日の予選で自身がつくった日本記録を3秒14更新。13人で争う6日の決勝でも無欲の挑戦で一つでも上の順位を目指す。

 出場すら日本女子として五輪史上初だった種目で、田中が再び快挙を成し遂げた。「4分を切れば決勝に残れると思っていた」というレースで、自動的に決勝進出となる5位の快走。これで五輪本番直前の前哨戦、今大会の予選と合わせて3レース連続で日本記録を更新し、「理想通りのタイムで決勝に進むことができて凄くうれしい」と声を弾ませた。

 最初の100メートルは経験したことがないようなハイペース。内側からスタートして出遅れたが、「1レーンに空間ができていた」と見るや、3コーナーの入り口で先頭に躍り出た。「予選で自分以外の組は2周目で休んでいた傾向があった。自分も苦しいが決勝に残れる可能性が高い」と後続に息をつかせないラップを刻み、ラストは「世界のスプリントがどうなのか分からなかったが、最後まで抜く努力をした」結果、記録と順位が付いてきた。

 母・千洋さんは北海道マラソン2度優勝を誇り、現在も父・健智コーチの指導を受ける。幼少期は足が遅い方だったが、無類の読書好きで「小学校の時は早く帰宅して読書したくて、家まで2・5キロを毎日走って帰っていた」(健智氏)ことで才能とDNAが覚醒。読書で磨かれた想像力は作戦面で生きており、「(3冠を狙う)ハッサンがいるからスローになる。自分らしい(前半飛ばす)レースも面白いし、ラスト1周でよーいドンもやってみたい」と決勝のレース展開を想像した。

 「大きい舞台だと、自分でも気持ち悪いくらい人格が変わる。五輪の空気に助けられている」という今、田中はゾーンに入っている。数年前は日本選手権でも予選落ちしていた1500メートルでの五輪決勝。覚醒した爆走娘が、大仕事をやってのける雰囲気を漂わせてきた。(阿部 令)

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2021年8月5日のニュース