新種目スポーツクライミング男子複合・楢崎智亜 4位で惜しくもメダル逃す  

[ 2021年8月5日 22:15 ]

東京五輪第14日 スポーツクライミング男子複合決勝 ( 2021年8月5日    青海アーバンスポーツパーク )

 ボルダリングの第1課題を完登し、ガッツポーズの楢崎智亜(AP)
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 東京五輪からの新競技スポーツクライミングの男子複合で楢崎智亜(25=TEAM au)が4位となり、惜しくもメダルに届かなかった。

 決勝はバサ・マウェム(フランス)が左腕負傷で棄権したため7人で競われた。予選2位で通過した楢崎は、1種目目の速さ勝負の「スピード」で2位と好発進した。

 続く「ボルダリングは」は楢崎の得意種目。課題のクリア数を争うもので、第1課題を一撃完登した。第2課題は楢崎を含む6人が完登できず、第3課題は全員がクリアできない展開に。楢崎は予選の順位を踏まえてボルダリングは3位となり、2種目を終えて2位。各選手ほとんど差がなく大混戦のまま、最終種目の「リード」に臨んだ。

 リードは、限りなく難しい位置にホールドが置かれ、選手はハーネスを着け、ロープをかけながら難関攻略に挑み、到達した高さを競う。1度落ちたら終了という緊張感も伴う種目だ。予選では同種目でミスをした楢崎は決勝では健闘するも6位。3種目全てで4位に終わった。

 幼稚園から体操を始め、小学5年生で競技に出会った楢崎智。2011年に中学3年生でジャパンカップに初出場、高校3年生となった14年にはワールドカップに初出場し、着実にキャリアを積んだ。1メートル69と小柄ながらバランス感覚に優れた登りが武器。16年と19年にはボルダリングでW杯年間王者と世界選手権で金メダルを獲得し、19年には五輪の種目となる「複合」でも制した。

 今年1月のインタビューでは「誰に聞いても“楢崎が1番”と言われるような存在になりたい。今は一概に誰が1番って言えないんで。そのためには東京五輪の金メダルが必要だと思っている。複合というのもあるし、五輪の初代王者というインパクトもある」と東京五輪での金メダルへ意欲を語っていたが、かなわなかった。だが、スパイダーマンに軽快なスピードで駆け上り、果敢に攻めるさわやかなイケメンぶりで、同競技への注目を高めるのに貢献した。

 ◆楢崎 智亜(ならさき・ともあ)1996年(平8)6月22日生まれ、栃木県出身の25歳。栃木県立宇都宮北高等学校卒。幼少時は体操をしていたが、小学5年でクライミングを始める。ボルダリングで16、19年にW杯年間王者と世界選手権で金メダルを獲得。19年世界選手権は五輪で実施される「複合」を制した。弟の明智も日本代表として活躍している。1メートル69、60キロ。

 ▽スポーツクライミング複合 スピード、ボルダリング、リードの総合成績で争う。各種目の順位を掛け合わせた数字が少ない方が上位となる。予選は20人で実施し、スピードは2本登ってタイムが速い方を採用し、ボルダリングは4課題に挑む。8人の決勝ではスピードはトーナメント戦で順位を決め、ボルダリングは3課題。リードは予選、決勝ともに1課題で実施する。

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2021年8月5日のニュース