天理大V “叩き上げの星”松岡主将&市川が躍動 クラスター騒動で受けた誹謗中傷も乗り越えた!

[ 2021年1月12日 05:30 ]

ラグビー全国大学選手権決勝   天理大55-28早大 ( 2021年1月11日    国立競技場 )

<早大・天理大>優勝し、涙の天理大・松岡主将
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 “叩き上げの星”の天理大CTB市川敬太が4トライを挙げた。前半3分に先制トライを決めると、41分は鮮やかなサインプレー。相手ゴール前のスクラムからCTBフィフィタがおとりで突っ込み、早大ディフェンスを引きつけたところでパスをもらい、飛び込んだ。

 CTBコンビの息の合ったプレーでトライを量産した。「去年からCTBを2人でやっている。2人の連係でトライを取れてよかった」。昨季の早大戦で完膚なきまでに叩きのめされた。そのリベンジに成功した。

 市川が大阪・日新高からきた1メートル72の無名の選手なら、フランカー松岡大和主将も全国的には知られていない選手だった。関西で有名な“お坊ちゃん学校”の兵庫・甲南高出。「こんな弱小なのに誘ってもらった」と、会社経営者の父の反対を押し切って入学した。「高校の名前で勝負しているわけじゃない」と、持ち前のエネルギッシュさで、同級生の先頭に立って早朝筋トレをした。1年からこの学年の太陽のような存在だった。

 昨年8月、寮でコロナの集団感染が起き、62人に陽性反応が出た。1カ月、活動停止をした。世間から批判にさらされた。ネットには心ない声と、根も葉もないうわさであふれた。部以外に影響が及び、教育実習やアルバイトで、天理大生の受け入れ拒否があった。

 松岡は雑音に惑わされないように、チームに強いメッセージを発し続けた。「応援してくれる方に結果で恩返ししよう」。鍛えた成果で、昨季比4キロ増の99キロになった。倒れても、起き上がってまた体を張る。決勝も前半に足を負傷しながら、後半32分に退くまで走り続けた。言葉の説得力は誰よりもあった。

 168人が空中分解しかねない「クラスター」に陥りながら、日本一へ。優勝インタビューは涙、涙で「全員が我慢して、みなさんがサポートしてくれたおかげで乗り切ることができた」と叫んだ。キャプテンシーの塊がいたからこそ、まとまることができた。

 《SH藤原―SO松永のハーフ団躍動》1年生からレギュラーのSH藤原―SO松永のハーフ団の活躍も光った。藤原は素早い球出しで、超高速テンポのアタックに貢献。スキを突いた近場の突破だけでなく、後半最初のトライも挙げた。松永は落ち着いたゲームメークと正確なキックで存在感を発揮した。小松監督は「未熟な彼らが負けを経験して、修正力を備えていった」と下級生から全国を経験した選手が多い4年生を称えた。藤原はクボタ、松永は東芝に加入。次はトップリーグで活躍する。

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