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関西勢36大会ぶり!天理大が悲願V スクラム注力&情報戦で進化、“全国で勝てない”は昔の話

[ 2021年1月12日 05:30 ]

ラグビー全国大学選手権決勝   天理大55-28早大 ( 2021年1月11日    国立競技場 )

<早大・天理大>優勝し、歓喜の天理大フィフティーン(代表撮影)=11日、新宿区の国立競技場
Photo By 代表撮影

 天理大が8トライを挙げて早大に55―28で圧倒し、初優勝した。関西勢の制覇は1984年度に故平尾誠二さんを擁して3連覇した同大以来、36大会ぶり。過去2度の準Vの反省を生かし、FWが接点で圧倒し、決勝史上最多得点をマーク。全国大会29度目、決勝は3度目の挑戦で頂点に立った。試合は有観客で開催され、1万1411人が入った。

 天理大は留学生頼みのチームだろうか。いや、違う。確かにCTBフィフィタ、ロックのモアラの個人技は光った。しかし、フランカー松岡主将と服部、No・8山村、ロック中鹿らFW勢の奮闘なくして初の日本一は実現しなかった。突っ込んで、一歩、二歩、前に出た。FWがこじ開ければ、自慢の高速の展開がある。早大のどこかに、スペースができるのは当然だった。

 プロップ小鍛治、フッカー佐藤は攻守交代を呼ぶ好守で、電撃的な前半10分までの2トライを生んだ。高校時代、無名の面々が大学で鍛え上げ、高校日本代表が集まるエリート軍団に接点で圧倒した。ペースを握り続け、決勝史上最多の55得点。緊急事態宣言下の国立競技場に、歓喜の雄たけびが響いた。

 「ワセダの強いアタックに対して、走って、何回も起き上がってプレッシャーをかけたことが勝因。ハードワークをしてくれた」

 小松監督は静かにうなずいた。長かった。部訓は「一手一つ」。足りないところを補完しあい、力を合わせて一つになるという言葉のように、不完全さを補ってここまで来た。

 11年度決勝は司令塔の立川理道(クボタ)が軸の展開ラグビーで、帝京大を追い込んだ。風向きが変わった。付属高校からも敬遠された都会から離れた地に、志ある選手が来るようになった。同時に、「関東と同じような施設にしたい」とウエートルーム併設の全寮制にし、好きな時に鍛えられる環境を整えた。帝京大にやられたスクラムに注力し、全国屈指の強さを備えた。

 18年度は、帝京大の連覇を9で止めた後に決勝で明大に5点差で屈した。関西では圧勝しながら、全国ではあと一歩届かない。大敗した昨季の早大戦も重なって、足りない1ピースに気付いた。

 「総合力が違いました。完全に分析をされていました。関西にはない文化です。ここまでやるのか、と思いました」

 84年度の同大を最後に関西勢が優勝から遠ざかった。その間に、情報戦でガラパゴス化していたのだ。昨季から学生の分析係を配置し、今季はラインアウト専門班もつくった。決勝は、早大のFB河瀬にあえてカウンターをさせ、ことごとくつぶしてキーマンに次の仕事をさせなかった。昨季、全く取れなかったラインアウトは、1本しか失わなかった。

 例年より1日早く、試合2日前に都内に入った。試合4日前から報道陣をシャットアウトした。10日は、会場を視察した。関東で力を発揮すべく、指揮官は手を尽くした。どれもこれも、敗戦から学んだことだ。

 雌伏の時を経てつかんだ勝利だと、松岡は実感する。「部員全員とサポートしてくれたみなさんと、先輩が培ってきてくれたおかげです」と競技場中に感謝の思いを響かせた。コロナ禍を色濃く表すマスク姿の表彰式は、今年限りで十分。しかし、不完全な個性が一つにまとまるストーリーなら、この先も歓迎だ。

 【天理大Vのデータアラカルト】
 ○…天理大が史上10校目の全国大学選手権の王者に。関西勢では同大以来2校目。残り8校は全て関東勢で、大学は東高西低が顕著だった。
 ○…関西勢の優勝は84年度の同大以来36大会ぶり。
 ○…天理大の55得点は、14年度に帝京大が筑波大戦でマークした50得点を抜いて、決勝史上最多得点。
 ○…天理大が早大に勝つのは5大会ぶり2度目。通算2勝3敗。66年度1回戦(●6―33)、12年度第2ステージ(●14―46)、15年度第2ステージ(○14―10)、19年度準決勝(●14―52)。

 《部員約100人応援駆けつける》仲間とともに日本一の喜びを味わえた。遠征メンバー以外の部員約100人らが、奈良県天理市を当日午前4時に出発。バス3台で国立競技場に駆けつけた。準決勝は、感染対策から4年生だけしか応援が許されなかった。決勝戦も歓声自粛だったものの、応援は心強く、スクラムでは手拍子が響いた。明大の応援一色だった2大会前の決勝とは違った雰囲気に、プロップ小鍛治は「シンプルに気持ち良くプレーできた」と感無量だった。

 《スタンドは閑散 1万1411人》昨年度は5万7345人の観衆を集めた国立決勝の観衆は、1万1411人だった。日本協会は政府方針を受け、先月26日から予定していたチケットの一般販売を中止。先行販売していた約1万7000枚のみを有効としていた。8日には緊急事態宣言が発令され、無観客開催も検討されたが、販売済み分には遡及(そきゅう)適用されないとして有観客で開催。ただ、払い戻し可能の対応を取ったため、5000枚以上が使用されず、スタンドは閑散としていた。

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