服部道子氏 渋野はアプローチの引き出し増え、心も良い状態 最終日は忍耐勝負

[ 2020年12月13日 17:10 ]

米女子ゴルフツアー・全米女子オープン第3日 ( 2020年12月12日    テキサス州ヒューストン・チャンピオンズGC=パー71 )

米女子ゴルフツアー全米女子オープン第3日、首位でホールアウトし、グータッチをかわす渋野日向子(AP)
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 渋野さんは三つスコアを落としましたが、良いゴルフをしていました。この日は本当に難しいコンディションで、米ツアーのトップ選手ですら、簡単にダブルボギーやトリプルボギーを叩いていました。前夜の雨でフェアウエーが柔らかくなり、ランを稼げず飛距離が出ない。しかもフェアウエーに行っても、運が悪いとボールに泥がついてしまう。ピンの位置もバンカーの先やグリーンの段の上など、ラインを読むのが難しい位置に切られていた。そんなタフなセッティングの中で彼女は危険なポジションを見極め、絶対にその方向に打たないマネジメントがしっかりできていました。ショットもほぼ狙ったところに打てていました。

 何より、アプローチの引き出しが増えていたことに驚かされました。以前はピッチエンドラン一辺倒のイメージでしたが、低い球筋で足を使った10番の50ヤードの寄せや、17番で右ラフから浮かせてカップをなめた一打、さらには転がしなど、状況に応じて打ち分けられていた。そうしたアプローチでパーを拾い耐えた。内容は上位選手の中でも、非常に良かったと思います。

 ただ、これだけ良いゴルフをしたのに三つもスコアを落とすと、普通は表情も曇りがちになります。でも、彼女はホールアウト後のインタビューの顔がキラキラしていた。結果をすべて受け入れ、アプローチが成長したという、前向きな部分に思考の焦点を当てていた。そういう心の健康状態を良くする術は、天性のものなのでしょうね。素晴らしい天からのギフトだと思います。明日も良い心のコンディションでプレーできるはずです。

 最終日は忍耐勝負となります。昨年の全英女子オープンはピンだけを見て、イケイケで攻めて勝つことができました。でも、その時はグリーンも止まりやすく、天気も良かった。今回は状況も全く違い、我慢することが大切なホールが多いですが、今年の米ツアーでの苦しかった貴重な経験が、彼女を助けてくれるはずです。闘う相手は自分自身にあります。(東京五輪日本代表女子コーチ)
 

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