サニブラ困惑、100&200Mダブル出場不可? 東京五輪400リレー金へ、陸連が1種目制限プラン

[ 2019年12月17日 05:30 ]

サニブラウン
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 日本陸連は16日、都内で理事会を開き、20年東京五輪の100、200メートルはどちらか1種目のみ出場とする異例の制限を設ける方針を示した。男子400メートルリレーで金メダルを獲るためのプランで最終決定はしていないが、100&200メートルのダブル出場を狙うサニブラウン・ハキーム(20=米フロリダ大)は、個人種目重視の姿勢を表明。選手サイドから反論が相次ぎ、陸連プランは消滅する可能性もある。

 まだ最終決定ではないとはいえ、この日の日本陸連理事会の資料には衝撃的な文言が追加されていた。20年東京五輪の100、200メートルの代表は400メートルリレーで金メダルを目指すため、1種目のみとする――。今年の世界選手権(9日間最大8レース)よりも東京五輪(7日間最大8レース)の日程がハードで、麻場一徳強化委員長は「リレーの金メダルが期待される中で、(個人は)1種目に専念してもらって、リレーに大きな力を使ってもらいたい」と説明した。

 陸連が個人の出場種目を制限する異例のプラン。反発の強い国立競技場のトラックについて、麻場強化委員長は「ここで3種目を走りきるのは厳しい」と私見を口にした。ウサイン・ボルトは世界大会で100、200、400メートルリレーをフル稼働してきたが、100メートルで9秒97の日本記録を持つサニブラウンは17年世界選手権で2種目出場した後、左太腿を痛めてリレーを走れなかった。土江寛裕五輪強化コーチは「ベストの4人でファイナルを迎えたい」と話した。

 ただ、個人種目での活躍はスプリンターにとっての最優先事項だ。陸連の年間表彰式後、取材に応じたサニブラウンは「考え的には分からないわけじゃないけど」と前置きした上で、「個人両種目でメダルを獲るために練習している。リレーは二の次。(個人種目を)しっかり頑張った上でリレーも手を抜かずに頑張るというスタンスでやっていきたい」とした。東京五輪は100&200メートルでのダブル出場に照準を合わせる。

 世界選手権の銅メダルメンバーも同調。100メートルで9秒98の小池祐貴(24=住友電工)が「(個人2種目は)できる人もいる」と言えば、多田修平(23=同)も「みんなリレーより個人の方を大事にしているので、選手の気持ちも考えた方がいいんじゃないかな」と話した。陸連は早期の決着を目指すが、ゴールまでの道のりは険しい。

 《OB中心に今後議論へ》日本陸連は今後、選手サイドやアスリート委員会と議論を重ねる。08年北京五輪男子400メートルリレー銀メダルメンバーで、アスリート委員長の高平慎士氏は出場制限案について、個人的な意見として、「それで大丈夫なんですか?」と思ったという。アスリート委員会は現役選手へのヒアリングは行わず、OB5人が中心となり、話し合いを進めていく。

 ▽東京五輪の代表選考 1カ国・地域で出場できるのは各種目最大3人。世界陸連が定める参加標準記録を突破した状態で、20年6月の日本選手権で3位以内に入れば代表に決定。他は世界ランクや日本選手権、日本GPシリーズの順位などによって選考する。

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