遼、3年ぶりV涙の復活!37ホール目絶叫イーグル 国内メジャー初制覇

[ 2019年7月8日 05:30 ]

男子ゴルフツアー 日本プロ選手権最終日 ( 2019年7月7日    鹿児島県 いぶすきGC=7150ヤード、パー70 )

日本プロ選手権の最終日、プレーオフでウイニングパットを沈め、ガッツポーズする石川
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 石川遼(27=CASIO)が通算13アンダーで並んだ黄重坤(ハンジュンゴン、27=韓国)とのプレーオフ1ホール目でイーグルを奪って制し、16年のRIZAP・KBCオーガスタ以来となる通算15勝目を手にした。大雨の影響で開幕が1日遅れ、最終日に36ホールを実施。一時は首位に最大7打差をつけられながら追いつき、37ホール目で激闘に終止符に打った。ドライバー(1W)の不調にあえぐ苦悩の期間を乗り越え、3年ぶりの勝利を国内メジャー初制覇で飾った。

 勝負のイーグルパットは下りの4メートル。石川は「最後に曲がる」と自分を信じて打った。ボールがスライスしてカップに吸い込まれると右拳を握り、マスターズを制したタイガー・ウッズばりの派手なガッツポーズ。メジャーという大舞台で3年ぶりの復活優勝を成し遂げた。

 「今までの優勝で一番興奮した。自分がここに立っているのが信じられない。夢のような気持ちです」。そう言って涙を浮かべた。

 15歳で初出場初優勝した07年のマンシングウェアKSBカップ以来の1日36ホール。首位から出た第3ラウンドはまさかの展開となった。2連続ダブルボギーなど12番までで5つスコアを落とした。首位との差は一時は7に広がり「一瞬、気持ちが切れかかった」。だが「挑戦者になろう」と切り替え、攻めの姿勢を取り戻した。

 最終ラウンドは16番時点で首位の黄重坤と3打差。16番のバーディーで2差に迫ると、黄が17番で池に落として並び「一気に心拍数が上がった」。プレーオフに 突入。 ここまで不調だった1Wを思い切り振った。ボールは右のカート道に跳ねてフェアウエーに戻ってきた。「この運を生かさないと」と37ホール目で勝負をつけた。

 18年から本格的に日本ツアーに復帰。だが、1Wの不調に悩んだ。フェアウエー幅が100ヤードあるコースでOBを出したこともある。練習は1Wに偏り、試合でも結果が出なくなった。「自信をなくすのはあっという間だった」。自分の体を見つめ直し、今年から本格的なウエートトレーニングを導入。「こんなに体の状態がいいのは何年ぶりか。10代の頃は良かったが、年月がたって自分の体に対してごう慢さがあった」と言った。

 昨年からつけはじめたノートがある。ジュニアの頃から書いていたが、いつの間にかつけなくなったゴルフ日誌。毎日ペンを執り、一日を振り返った。結果が出ないとき、「やりたくないと思う日もあった」。それでも、書き続けたノート。全ては逃げずに自分に向き合うため。優勝争いの場面でも、自身を信じるきっかけをくれた。

 日本タイトルの獲得はあるが、メジャーは初勝利。これで5年のシード権を得て「正直、ホッとしている」。米ツアー再挑戦も諦めていない。

 「富士山を登ったら次はエベレストを目指す。前回はみんな重装備をしているのに、僕は軽装で行ってケガして帰ってきた。まだ登り始めてもないかもしれないけど、頂上に行くのが目標です」。

 七夕の日に劇的勝利。石川の言葉にはかつての力強さが戻っていた。

 《“イーグル締め”は史上初》1926年の第1回大会から87回目を迎えた日本プロで、プレーオフにもつれ込んだのは13度あるが「イーグル決着」は初。かつてはプレーオフが複数ホール合計で争われ、現在のサドンデスとなったのは76年大会。この年は金井清一が4人プレーオフを制した。

 【勝者のクラブ】▼1W=キャロウェイ・エピッククラッシュ・トリプルダイヤモンド(ロフト角9・5度、シャフトの長さ45インチ、硬さTX)▼3W=同XR16スタンダード(13・5度)▼2I=同APEXプロ、3I=同XフォージドUT(21度)▼4I~PW=同APEX・MB▼ウエッジ=同Xフォージド(50度)、マックダディー2ツアーグラインド(58度)▼パター=オデッセイ・プロトタイプix♯9▼ボール=同クロムソフトX

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