北島“最低限の目標”クリアも無冠に終わる

[ 2010年4月19日 06:00 ]

男子100メートル平泳ぎも2位となり、今大会は無冠に終わった北島康介

 競泳日本選手権最終日は18日、東京辰巳国際水泳場で行われ、男子100メートル平泳ぎ決勝で、五輪2大会連続2冠の北島康介(27=日本コカ・コーラ)は59秒91の2位で、8月のパンパシフィック選手権(米アーバイン)の代表入りを確実にした。最低限の目標はクリアしたが、第一人者となった00年以降の同大会(休養した昨年を除く)では初めて無冠に終わり、ロンドン五輪へ向けて大きな不安を残した。日本代表メンバーは19日に発表される。

 電光掲示板の順位を確認した北島は、隣のコースで1位となった立石とガッチリ握手した。代表切符を確実にする2位に入り、思わず安どの表情を浮かべた。
 「最後はいい泳ぎができたかな。59秒台が出れば納得して帰れると思っていた。よく立て直せたし、高く評価していい」
 前半50メートルは立石より0秒12速い28秒31でトップ。先行逃げ切りの必勝パターンだったが、ラスト15メートルで並ばれ、最後はかわされた。100分の7秒差の59秒91。準決勝からは0秒50、タイムを縮めたが、五輪2大会連続2冠の第一人者が復帰戦で、躍進する“後継者”に敗れた現実は重い。
 大会直前の練習は順調で、勝つつもりで挑んだ大会。だが、50メートル2位、200メートル4位。代表入りに黄信号がともり、目標を下方修正せざるを得なくなった。「自分の泳ぎをすることだけに専念した。勝負にこだわったら、もっと遅くなったと思う」。1位を狙える状態ではないことは、北島自身が一番理解していた。
 故障や体調不良で練習不足が続いた北京五輪前の05、06年。練習量の問われる200メートルでは負けたが、100メートルだけは勝ってきた。だが、今回はまさかの無冠。練習を再開したのは昨年6月で、練習期間の短さが影響することはもちろん覚悟していたが、米国に拠点を移して行ってきた独自の練習では通用しないことを露呈したのも確かだ。
 北島は「とりあえず自信を取り戻したけど、世界では戦えない。トレーニングで何とかするしかない」と話したが、今月末には再び拠点の米国に戻る。独り立ちを図る半面、五輪2大会連続2冠を後押しした平井コーチの指導は受けられない状態が続く。独立か再び平井門下生となるのか――。2年後のロンドン五輪に向け、北島が大きな岐路に立たされた。

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2010年4月19日のニュース