朴仁妃 正真正銘V!幻の優勝の雪辱

[ 2010年4月19日 06:00 ]

日本ツアーで初優勝した朴仁妃

 女子ゴルフツアー西陣レディース最終日は18日、熊本県菊池郡の熊本空港カントリークラブ(6473ヤード パー72)で行われ、08年全米女子オープン覇者の朴仁妃=パク・インビ=(21=韓国)が、通算7アンダーで並んだ天沼知恵子(34=太平洋クラブ)とのプレーオフを制して日本ツアー初優勝を飾った。3月のプロギア・レディースでは首位でホールアウトした後に2打罰を受けて2位に転落。幻の優勝となった悔しさをバネに、正真正銘の勝利を手にした。首位からスタートして今季初優勝を狙った上田桃子(23=ソニー)はバーディーなしの76と崩れて、通算4アンダーの4位に終わった。

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 今度こそ文句なしの優勝だった。プレーオフ1ホール目、バーディーを奪って天沼を退けた朴仁妃は、大きな拍手に笑顔で応えた。4打差4位からの逆転で、日本ツアー初優勝。08年の全米女子オープン以来となる勝利を手にした朴仁妃は「全米を勝ってから初めての優勝なので本当にうれしい」と素直に喜んだ。

 今季から日本ツアーに参戦し、これまでの3試合はすべて2位だった。前週も有村智恵とのプレーオフで惜敗。もちろん悔しかったが、それ以上に忘れられないのは3月のプロギア・レディースの“幻の優勝”だった。

 最終日に1打差の首位でホールアウトした朴仁妃は、スコアカード提出直前に1番グリーン上で球が動いていたと指摘を受けた。長い話し合いの末に、テレビ局の映像を確認した競技委員会から2打罰の裁定を下された。

 18ホールをプレーし終えた選手が優勝を取り消されたのは日本女子ツアー史上初めてのこと。直後は朴仁妃も「スポーツ仲裁裁判所(CAS)に話を持っていく」と冷静ではいられなかったが、翌日には「気持ちを切り替えて頑張ります」とツアーに連絡を入れた。この日の優勝会見では「あれが頑張る理由になった」と笑顔で振り返った。

 日米ツアーを股にかけて活躍する今季は絶好調。腰痛やスイング改造の影響で調子を崩していた昨年とは違い、日本でも米国でも強さを発揮している。5月のワールド・レディース・サロンパスまでは日本ツアーに継続参戦する。「日本ではいくつかの試合にしか出られないので賞金女王は意識しない」と語ったが、賞金ランクでは首位に躍り出て、部門別成績でも軒並みトップ。よみがえった全米覇者は、これからも日本の選手にとって巨大な壁になりそうだ。

 ≪韓国人選手の活躍が目立つ理由は≫今季のツアーは例年以上に韓国人選手の活躍が目立つ。米女子ツアーは試合数が減少傾向にあり、特に不況の影響で大幅減が予想された昨年は、多くの選手が日本ツアーに活躍の場を求めた。今季の出場資格を懸けた11月の最終予選会では、上位10人のうち8人が韓国人選手。その中に朴仁妃や開幕戦を制したアン・ソンジュ、米ツアー4勝のイ・ソナがいた。昨年の米ツアー賞金女王の申ジエも08年から日本でプレーしており、出場するたびに優勝争いに絡んでくる。
 今大会は108人中18人が韓国人選手。朴仁妃は「日本はギャラリーもメジャー並みに多いし、副賞も多い」と優勝副賞の高級外車をゲットして喜んだが、彼女たちのハングリー精神を刺激する材料も十分。世界トップレベルの参入はツアーにとっては歓迎すべきことで、日本人選手も負けじと競い合っていくしかない。

 ◆朴仁妃(パク・インビ)1988年7月12日、韓国ソウル生まれ。10歳の時に朴セリにあこがれてゴルフを始める。家族と米国に移住して全米女子ジュニアなどを制覇。06年4月にプロ転向し、08年全米女子オープンでのツアー初優勝は同大会の最年少優勝。昨年の日本ツアー最終予選会は4位。1メートル67、65キロ。

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