塚田 雪辱9連覇達成!山下氏に並んだ

[ 2010年4月19日 06:00 ]

9連覇を達成し、皇后杯を手に笑顔の塚田真希

 全日本女子柔道選手権は18日、横浜文化体育館で行われ、女子78キロ超級アテネ五輪金、北京五輪銀の塚田真希(28=綜合警備保障)が決勝で杉本美香(25=コマツ)に大外刈りで一本勝ちし、大会9連覇を達成した。体重無差別で日本一を決める全日本選手権のV9は、77~85年の男子の山下泰裕氏(現東海大体育学部長)に並ぶ偉業。大会後の全日本柔道連盟の強化委員会で世界選手権(9月、東京・国立代々木競技場)78キロ超級代表に決まった塚田は、再び世界の頂点に向けて走りだす。

 一瞬のチャンスを見逃さないことが、勝ち続ける理由だ。組み手を研究し徹底的に攻めを封じてきた杉本に押され、先に教育的指導を受けた塚田。だが、2分すぎ。奥襟をつかんだ瞬間、左足をいっぱいに伸ばして大外刈りを繰り出した。崩れた相手を最後までコントロールし、主審の「一本」の判定を引き出す。言葉にならない歓喜の叫びを上げた直後に、涙が止まらなくなった。

 「(今月3日の)選抜体重別で負けて、いろんな人が心配してくれた。人に支えられて、何とか勝つことができてうれしい」。昨年に続き、選抜体重別では杉本に苦杯を喫した。直後、過去に何度も名勝負を繰り広げてきた薪谷翠コーチから厳しい言葉を投げかけられた。「試合途中に気持ちが抜けただろう?あからさまだった」。第一人者のおごりと甘え。鋭い指摘に、奮い立った。

 「内容次第では、今後のことも考えた」。引退も覚悟して臨んだこの大会に向け、重量級の選手が最も苦手とするランニングを、毎日1時間近く行った。5試合中4試合は一本勝ち。東海大・白瀬英春女子監督は「初心ではなく無心だった。若いときの姿がダブって見えた。最高の準備と最高の試合だった」と愛弟子を称えた。

 「山下先生と握手したときに力が強くて、喜んでくれているんだなと感じた。数字はピンとこないんですけどね」。同じ階級ではなく、さまざまなタイプと対戦する無差別の大会9連覇は、金字塔だ。前人未到の「V10」も視野に入ってくるが、その前に大仕事が待っている。9月、東京で行われる世界選手権。「縁を感じていたし、東京で表彰台の真ん中に立ちたい。決意は固まりました」。28歳は、再び鬼気迫る表情を浮かべた。

 ≪塚田に厳しい評価≫強化委員会は塚田に厳しい評価を与えた。全日本女子の園田隆二監督は「今年はこんなもん、では使えない。世界選手権までに鍛え直していきたい」と甘さを指摘。吉村和郎強化委員長も「本来の圧力やパワー、切れはなかった」とした。世界選手権は大会初日に行われる78キロ超級に塚田と杉本を出場させるが、最終日の無差別級は田知本愛(21=東海大)を加えた3人の中から2人をエントリーするという。

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2010年4月19日のニュース