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365日 あの頃ヒット曲ランキング 2月

【1976年2月】なごり雪/イルカ 埋もれさせてはならないの一心で名曲に

[ 2012年2月29日 06:00 ]

 ★76年2月ランキング★
1 およげ!たいやきくん/子門真人
2 木綿のハンカチーフ/太田裕美
3 ファンタジー/岩崎宏美
4 なごり雪/イルカ
5 恋の弱味/郷ひろみ
6 俺たちの旅/中村雅俊
7 あの日にかえりたい/松任谷由実
8 白い約束/山口百恵
9 立ちどまるなふりむくな/沢田研二
10 めまい/小椋佳
注目無縁坂/グレープ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【なごり雪/イルカ】

 もう3月がそこまできている。新たな旅立ちの季節である。今では携帯電話もあれば、交通機関も発達し、遠距離恋愛もそう難しくはなくなってきたが、3、40年前のそれはほぼ別れを意味した。

 イルカが歌った「なごり雪」は、若い男女の駅での別れのシーンを切り取った名曲。レコード売り上げはヒットした75年に55万枚。その後CD化されるなどして、計80万枚をセールスした。

 作詞作曲は伊勢正三。「かぐや姫」時代の74年に3枚目のアルバム「三階建ての詩」に収録された1曲だった。当時から評判の出来ばえで、アルバム発売前にラジオで集中的に流したところ、アルバムの予約枚数が急増したという“伝説”があった。

 かぐや姫解散にともない、この名曲が埋もれてしまうことを惜しんだあるディレクターが、伊勢へイルカに歌わせたいと申し出た。イルカは夫と組んでいたフォークグループ「シュリークス」を解散し、夫をプロデューサーとしてソロで歌い始めた矢先だった。聞き慣れた曲ではあったが、中性的なイルカの歌声で再度耳にすると、いっそう切なさが募った。

 歌詞の舞台は東京。彼女が都会を後にし、汽車で故郷へ帰ることになるが、男はそれを止めることもできず、別れを惜しんで時計ばかりを気にしている。その時彼女が寂しそうにつぶやいた。「東京で見る雪はこれが最後ね」。

 伊勢の心の中にあったこの雪の風景は、故郷の大分・津久見。決して積もることはない、歌詞のにあるように「落ちてはとける雪」だった。歌手として東京で“成功した”と言える伊勢だったが、いつもどこかにその存在があった故郷。東京にいればこそ描けた、郷愁を込めた歌だった。

 サビでは彼女が去年よりきれいになった、と気付く男がいる。何かを決意した女は美しい。顔かたちでなく、凛とした美しさを感じる。いつまでも同じところにいて、置いていかれるのは男ばかりである。

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