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【1989年2月】TRAIN―TRAIN/ザ・ブルーハーツ スケール大きさは圧巻

[ 2012年2月16日 06:00 ]

★89年2月ランキング★
1 激愛/長渕剛
2 愛が止まらない/Wink
3 恋一夜/工藤静香
4 TRAIN―TRAIN/ザ・ブルーハーツ
5 TRUE―LOVE/浅香唯
6 とんぼ/長渕剛
7 キ・ツ・イ/玉置浩二
8 語りつぐ愛に/薬師丸ひろ子
9 夕焼けの歌/近藤真彦
10 秋/男闘呼組
注目Runner/BAKUFU―SLUMP
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【TRAIN―TRAIN/ザ・ブルーハーツ】

 わずか19日間のアルバム制作を「やっつけ仕事」と言い放った。もちろん、テレ隠しの発言だが、4人のレコーディングスタイルは基本的に一発勝負。録り直しは基本的にせず、その時のありのままを表現するということに徹していた。

 88年11月に3枚目のアルバム「TRAIN―TRAIN」と同時に発売された、アルバムタイトルと同じ曲名のシングル盤。TBS系連続ドラマ「はいすくーる落書」の主題歌として起用された。87年リリースの「リンダ・リンダ」で旋風を巻き起こし、既に音楽好きには知られていたバンドだったが、テレビ主題歌でしかも比較的低年齢層が見たドラマだっただけに、さらに一般に浸透。30万枚のセールスを記録し、若者たちはカラオケで大合唱しながら歌った。

 ハワイで仕上げのトラックダウンを行った。と、同時にプロモーションビデオも撮影した。これは短期間で制作したアルバムとは違い、ヘリコプターまで飛ばし、ハワイの赤茶けた火山の岩肌で演奏という絵柄を撮った。ライブシーンのつなぎ合わせが多い、ロックバンドのPVにしては凝った内容だった。

 バンドとしては粗い、音楽的に言えばバランスもテンポもバラバラで決して上手くはなかった。ただ、ブルーハーツはそういう尺度で見てはいけないスケールの大きさがあった。

 特に歌詞の力強さは圧巻。普通口に出して言うのも気恥ずかしい言葉もパワーあふれる曲に乗ると、カッコ良く聞こえるから不思議。「TRAIN―TRAIN」にしても、世界中のどんな記念碑なんかより、あなたが生きていることの方がどんなに素晴らしいか、という内容のことをシャウトすると、一瞬にして普段口に出せない言葉が熱を帯びて、胸にグッと迫ってくる。

 85年、それぞれ別のバンドにいたボーカルの甲本ヒロトとギターの真島昌利がブルーハーツを結成。真島は元のバンドがメジャーデビュー直前だったにもかかわらず、そこを飛び出した後に甲本と組んだ。

 ベースは元マネジャーの河口純之助、ドラムはメジャーデビュー前のブルーハーツのファンで、甲本の家に連日「ドラムやるならオレしかいない」と売り込んだ、塚原徹也が担当。個性あふれる4人は、時代が昭和から平成に代わりはなに、快速電車のごとく疾走した。

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