365日 あの頃ヒット曲ランキング 2月

【1990年2月】今すぐKiss Me/リンドバーグ バンド転向 歌声も変えた元アイドル

[ 2012年2月22日 06:00 ]

★90年2月ランキング★
1 くちびるから媚薬/工藤静香
2 あいにきてI・need・you!/GO―BANG’S
3 今すぐKiss Me/リンドバーグ
4 荒野のメガロポリス/光GENJI
5 悪の華/BUCK―TICK
6 虹の都へ/高野寛
7 夢を信じて/徳永英明
8 笑顔の行方/ドリームズ・カム・トゥルー
9 道/森高千里
10 勇気のしるし/牛若丸三郎太
注目プレゼント/JITTERIN’JINN
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【今すぐKiss Me/リンドバーグ】

 ようやく3年間の思いが爆発した曲だった。ボイッシュな短い髪にバンダナを巻き、白いTシャツ、黒のスリムジーンズというスタイルでステージを飛び回る、21歳の女性ボーカル渡瀬マキは90年2月22日、21歳の誕生日を迎えた。

 その3日前の19日付のオリコンチャートで初登場3位に輝いたのは、渡瀬が看板の4人組バンド「リンドバーグ」が歌う「今すぐKiss Me」。フジテレビ系連続ドラマ「世界で一番君が好き!」の主題歌に起用され、ドラマが放映されると同時にCDの発売予定の問い合わせの電話が引っ切りなしにかかってくるなど、2月7日のリリース前にある程度売れることは予測できたが、3月にはとうとう1位を獲得。「まさか1位になるとは」とメンバーも目を白黒させて驚いた。

 「今すぐ…」に乗せて流れる三上博史と浅野温子の交差点の真ん中でのキスシーンなど、インパクトの強さも手伝ったが、楽曲の持つ明るさ、すがすがしさ、それに渡瀬のイキのいい歌声もヒットの要因だった。シングル2作目で頂点に立ったリンドバーグは、これで一気に波に乗り、その後、安定してチャートの上位にくる曲を世に放ち続けた。

 赤いフリフリの衣装に、自慢のロングヘアにリボンをつけて、カメラの前でニッコリ…。17歳の渡瀬の芸能界デビューはアイドルとしてだった。歌うことは大好きだったが、こんな格好をして笑顔を振りまいて歌うのは「ちょっと違う…」と感じた。シングル盤を3枚出したが泣かず飛ばず、声質が松田聖子に似ているとも言われたが、この世界、売れなければ意味がない。次でヒットしなければ、契約打ち切り。そんな瀬戸際で出した答えが、バンドへの転向だった。

 そこで出会ったのが、後に結婚することになるギターの平川達也。ドラムの川添智久、ベースの小柳昌法が加わり、急きょバンドを編成。アルバムをレコーディングしながらバンドを形作っていくという荒業でリンドバーグは離陸した。

 ビブラートがきいていた渡瀬の声からそれを取り払い、突き抜ける感じの歌い方にしたことで、パンチが効く歌声になった。デモテープ5曲の中から主題歌に選ばれた「今すぐ…」にこの声がハマった。計61万枚のセールスは、リンドバーグの中で最も売れたシングルとなった。

 

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