尾上松也　「歌舞伎も全部やめようと思った」過去、大きな転機くれた人物　「あのジジイをなんとかって…」

尾上松也
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　歌舞伎俳優の尾上松也（38）が13日放送のテレビ朝日「証言者バラエティ　アンタウォッチマン！」（火曜後11・45）にゲスト出演。ドラマなど歌舞伎以外の作品に出演する真意を明かした。

　1985年、六代目・尾上松助の長男として誕生。5歳で二代目・尾上松也として歌舞伎の初舞台を踏んだ。天才子役と呼ばれ、将来を嘱望されていたが、高校卒業後、20歳の時に父・松助が死去。大黒柱を失い、20歳の若さで一門を背負うことになった。後ろ盾がない中、歌舞伎で役を得るために自主公演を開催したが、しばらくはなかなか客席が埋まらない状況に苦悩した。

　今や大河ドラマを始め、多くの映像作品に出演しているが、それも歌舞伎の役を勝ち取るための手段だという。

　そんな中、大きな転機となったが、2012年、演出家・蜷川幸雄さんの舞台「ボクの四谷怪談」への出演だ。「あらゆるオーディションに落ちていく中で、ヒロインに抜てきしていただいて。それは大きなきっかけになった。自分の中でこのチャンスをつかめなかったら終わりだと思いました。ラストチャンスだと思った」。というのも「30歳までに何も起きなかったら辞めようと思ってたんです。歌舞伎も。全部やめようと思っていた」と悲壮な覚悟を決めていたことを明かし、スタジオからは「えー？！」と驚きの声が挙がった。

　ヒロイン・お岩に抜てきされ、稽古で蜷川さんの強烈さを目の当たりにした。厳しいことで知られる蜷川さんだけに「追い込まれましたね。最後の見せ場の時に歌舞伎の型を入れたり、いろんな動きを試してみたりしたんですけど面白くない、それじゃダメだって言われて。稽古場では1カ月やっても一度も笑ってもらえない。初日前日のゲネプロで、叫んで怒鳴り散らすように自分の感情のおもむくままにやってみたんですね。そうしましたら、終わった後に蜷川さんが喜んでいる姿をようやく見られまして。こういうことかとつかめた瞬間だった」と回想。

　「それがなかったら、未だに自分は自分の枠からはみ出るようなことはできないでいただろうと思います」と自らを解放するきっかけをくれた蜷川さんに感謝した。

　蜷川さんの演出について「みんなにフラストレーションためさせて、言い方は悪いですけど“あのジジイをなんとか笑わせてやりたてぇ”って思わせる。憎しみと愛情が入り混じった現場になって、最後蜷川さんが喜ぶとみんながバーっと上がる。そういうのを作るのがすごい上手い方だったなあって」と懐かしんだ。

　一皮むけた松也の芝居は各方面で絶賛され、ミュージカルやドラマ、CMなど多くのオファーが舞い込んだ。