豊島竜王、羽生九段を撃破!劇的最終局、30日に永瀬王座とプレーオフ 王将戦挑決L

[ 2020年11月21日 05:30 ]

第70期王将戦 挑戦者決定リーグ

羽生九段を破りプレーオフ進出を決めた豊島将之竜王
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 将棋の第70期王将戦7番勝負(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)で渡辺明王将(36)=名人、棋王含め3冠=の対戦相手を決める挑戦者決定リーグは20日、東京・将棋会館で一斉対局を行った。永瀬拓矢王座(28)が広瀬章人八段(33)に敗れ、豊島将之竜王(30)=叡王との2冠=が羽生善治九段(50)に勝利。永瀬と豊島が5勝1敗で並び、リーグ2年ぶりのプレーオフ(30日)が決まった。藤井聡太2冠(18)=王位、棋聖=は木村一基九段(47)を破ったが、前期成績に基づくシード順で陥落が決まった。

 対局開始から9時間50分後、ようやくプレーオフへの道筋が見えた。羽生の投了を受け、この日敗れた永瀬と5勝1敗で並んだのは、劣勢を耐え忍んだ豊島だった。

 相手誘導で戦型は横歩取りへ。41手目▲4五桂と攻め込んだが以降、高飛車になった大駒を狙われた。「歩越し銀」は戦法として存在するが「歩越し飛車」は悪形の極み。「あまりうまくいってない。ずっと自信がなかった」と苦戦が続いた。

 82手目△5九飛(第1図)と敵陣からだけではなく背後からも火の手が上がる。「かなり気持ち悪い形。ちょっとまずそう」。なおも辛抱の時間が続き、逆転を確信できたのは「最後の方。(自王が)寄りづらい形になったのかなと思った」と薄氷の勝利だった。

 羽生とは、その通算100期が懸かった第33期竜王戦7番勝負でも対戦中。第3局後、羽生が無菌性髄膜炎と診断され入院した。12、13日に予定された第4局は規定により延期になり、羽生は17日の王将リーグで復帰した。

 この間、2人の間では手紙のやりとりがあった。14日に退院した羽生が送ったのは、対局の延期を謝罪する内容。豊島は、羽生の気遣いに感謝する返信を速達で送った。17日、自身も王将リーグで永瀬との対戦があり、羽生と再会するまでに手紙を届けたいという思いがあった。対戦相手は敵であり、棋譜という作品を共につくり上げる戦友でもあった。

 この日、永瀬とは別室での対局だったため、豊島がプレーオフ進出を知ったのは終局直後の取材時。「17日に負けてしまって、もう厳しいのかなと思っていた。自分なりに全力を尽くして頑張りたい」。2011、18年に次ぐ3度目の挑戦権獲得へ、言葉に力が宿った。(筒崎 嘉一)

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