「テレビは王様ではなくなった」 “異例抜擢”の若手TVマンが語る危機感と無限の可能性

[ 2019年3月26日 09:00 ]

西江健司氏
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 平成が終わり新時代へ―。インターネットの普及が進み、テレビ業界も過渡期を迎えている。動画視聴者の“テレビ離れ”が指摘されて久しいが、実際に番組を制作している若手テレビマンは現状をどのように感じているのか。入社2年目にして、TBS「借金、チャラにします。」(26日放送、後11・56)の企画・総合演出に抜擢された西江健司氏に番組への思い、テレビの可能性、危機感を語ってもらった。

 西江氏が総合演出を担当する「借金、チャラにします。」は借金をしている芸能人や一般人の返済に密着し、借金した経緯や思いに迫るドキュメント的要素も持つ異色のバラエティ。「『2年目だし、企画が通るわけない』、そんな風にあきらめてしまわないで、『若手だからこそ積極的に企画を出す』、そんな信念を持ち続けて地道に企画書を提出し続け、挑戦したことが今回の結果につながりました。(企画が通ったことを知らせる連絡の電話があった際は)平静を装っていましたが、電話を切った後に布団をかぶりながら叫びました。近所迷惑はよくないですから(笑)」と熱意が異例の抜擢を呼び込んだ。

 総合演出はスタッフのトップに位置する。「全員が年上」のスタッフに囲まれ、「自分より若い人が1人もいない組織を動かしたことがなかったので、スタート時はとても悩んだ」という。しかし、「裏を返せば、経験豊富でスキルが高い集団」と発想を転換し、「自分より年上の方々にはどのように説明したら納得してもらえるのか」と頭を悩ませながらも奮闘。「困難を乗り越えて自分のアイデアが形になっていくのは心が躍りましたし、この仕事のやりがいでもあります」と充実感をにじませる。

 テレビマンとして順風満帆なスタートを切ったように思えるが、当の本人は「あまり自分自身を『テレビマン』として意識することはないです」とキッパリ。ネット動画配信サービスがユーザーを集め、“テレビ離れ”が叫ばれる現状を強く意識しているといい、「このような時代だからこそ、ニュートラルに自分が納得する形でコンテンツを生み出す」ことに重きを置き、「テレビだけじゃなくYouTubeで動画コンテンツの配信も」行っている。今やネット動画配信の媒体はYouTube、Netflix、AbemaTV、Paraviなど多岐にわたるが、「テレビ以外にも積極的に参加してインプットしたい。その中で培った経験を生かして、媒体を絞らずに自分が面白いと思うコンテンツを作りたいです」と語る。

 考えの根底には「テレビはメディアの王様ではなくなった」という強い危機感がある。ネット社会となり、受動視聴ではなく、1人1人の趣向に合わせた積極視聴が主流に。「『みんなに刺さる』コンテンツではなく『あなたに刺さる』コンテンツが求められている」と肌で感じているといい、「テレビ局をコンテンツ制作集団として捉えるならば、これまでの制作スキルやノウハウを持っているテレビ局は相当に強い。そういう意味では『テレビ局』の可能性は無限大にあると思います。1人1人の心に刺さるコンテンツを作ることができるのか。それがマスに対するメディアとして存在し続けてきたテレビが今後抱える課題だと思います」と力説。「借金、チャラにします。」は、深夜に放送される1つの番組ではなく、異例抜擢の2年目社員の熱意と、それを支えた周囲のスタッフの思いが詰め込まれた“作品”となっている。

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