高畑淳子 森さんから授かった“和”を大切に…「雪まろげ」で博多座初登場

[ 2019年3月19日 15:32 ]

 4月24日から福岡市の博多座で上演される「雪まろげ」に女優の高畑淳子(64)が主演する。2012年に92歳で大往生を遂げた森光子さんが愛した作品。高畑は16年以来3年ぶりに“笑って泣いて嘘(うそ)をつく芸者”の夢子を演じる。高畑とライバル芸者役の榊原郁恵(59)が福岡を訪れ、見どころを語った。

 博多座初登場の高畑は「プレッシャーもあるけど、皆さんの力を借りて喜んでもらえる作品にしたい」と意気込む。森さんの「嘘つき女を演じたい」という一言から始まった舞台「雪まろげ」。1980年の初演から2007年まで上演され、16年に高畑主演で復活し、500回以上の上演を重ねている。

 舞台は実在する青森県の浅虫温泉。孤児院で育った高畑演じる夢子は場の雰囲気を良くしようと、ついつい調子のいい嘘をついてしまう。芸者になってもその癖は抜けず、ある嘘が雪まろげ(雪玉がどんどん大きくなるさま)のように日本中を巻き込む大騒動になる。高畑は「喜劇ですけど、とても切なく温かいところに最後は持っていかれます」と語る。 

 高畑は森さんと「放浪記」などで共演したことがあり、「お芝居で一番何が大事と考えられますか」と質問したことがある。どこか遠くを見ながら返ってきたという答えは「和かしらね」。今回は榊原郁恵、柴田理恵、湖月わたる、的場浩司ら個性豊かな面々がそろう。座長として「みんなが芝居に対して貪欲。自分一人がと思わず、ここで生きている和を大切に再演に向けてやりたい」と森さんから授かった“金言”を生かすつもりだ。

 見どころは盛りだくさんだ。舞台の幕開けすぐには雪の中、石川さゆりの名曲「津軽海峡・冬景色」をバックに扇子を持って日舞を舞う。「初っぱなから踊らされるとは思いませんでした」と苦笑いする高畑。踊りの稽古時間は少ないが「やるしかない」と自分を奮い立たせ、熱のこもった舞を披露している。

 人情味あふれる喜劇で笑い満載。高畑は「共演者との軽妙なやりとりを「お茶の子さいさいですよ」と楽しんでいる。物語の最後の泣かせるシーンも注目だ。そして物語で重要な嘘。「嘘をつくのは難しい」。高畑は森さんの自然な嘘の演技を振り返り、その凄さを改めて感じたそうだ。

 森さんが最後に「雪まろげ」を演じたのは博多座だった。時は流れ、高畑が6日間の公演で博多座20周年イヤーを彩る。平成最後に「神様みたいな存在」という森さんの魂を受け継ぐ。

 ▽あらすじ 物語の舞台は昭和50年代半ば、青森県の奥座敷の浅虫温泉。酒好きでお人よし、ついついその場の雰囲気を良くしよう、助けようと調子のいい嘘をつく芸者・夢子(高畑淳子)が主人公。夢子は温泉芸者仲間の銀子(榊原郁恵)ら個性豊かな面々と働いていた。ある日、銀子の幼なじみの新聞記者・大吾(的場浩司)が左遷されてやってくる。大吾は愛する人に気に入られたくて調子を合わせていたら、振られてしまった経験を持っていた。自分自身を重ね合わせた夢子は大吾に恋心を抱く。そんな夢子にある予期せぬ出来事が起こり、騒動に。そして夢子がついた優しく温かい嘘が周囲を巻き込んで大きな「雪まろげ」と化していく。哀愁漂うラストシーンは必見だ。

 ▽公演情報 4月24日初日で29日まで。上演予定時間は休憩を含めて約3時間15分。観劇料はA席が1万3000円、特B席が1万円、B席が7000円、C席が4000円(全て税込み)。電話での購入・問い合わせは博多座電話予約センター=(電)092(263)5555、(午前10時~午後6時)。ホームページや各プレイガイドでも購入できる。

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