健康法?「愛と怒りかな」 都知事選候補者アンケに含蓄ある回答 本紙編集局長が見た裕也さん

[ 2019年3月19日 09:00 ]

内田裕也さん死去

内田裕也さん
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 平成最初のころ、世の中はロックブームだった。尾崎豊やハウンド・ドッグら人気アーティストを抱えていた事務所社長を連載したことがあった。それを読んだ内田裕也さんが上司に連絡してきた。「売れているロックだけがロックじゃない。アルバイト生活をしながらロックしている若者の姿も記事にしてほしい」という依頼だった。彼らのバイト生活に同行して記事を書いた。それが裕也さんとの「出会い」だった。

 その後、裕也さんは都知事選に出ることになった。出馬手続きのために、新宿の都庁に行くという。「誰かに邪魔される心配があるから、証人として、マスコミの君も付いてきてくれ」と言われ、裕也さんが宿泊していた赤坂のホテルに行った。部屋のドアが開くと、股引(ももひき)姿の裕也さんが立っていた。ピチピチの革ジャンと革パンツがロッカーの定番で、股引なんか絶対にはかない。寒くても薄着で震えながらタバコをふかすものだと思い込んでいたから、見てはいけないものを見てしまった気がした。この時の裕也さんは50歳ぐらい。今思えば、仕方なかった。2人で地下鉄丸ノ内線に乗って都庁に行ったことを覚えている。

 この都知事選の最中、紙面企画で都知事選の候補者にアンケート調査をした。後輩記者を連れて、赤坂のホテルの喫茶室で裕也さんも取材した。入社したばかりの後輩は裕也さんをほとんど知らず、1ミリも恐れていなかった。アンケート項目を淡々と裕也さんに尋ねた。確か最初の質問は「家族構成を教えてください」だった。一瞬ポカンとした裕也さんは「俺にそんなこと聞くの?」と笑った後「うーん、別居中の妻子あり、でいい?」と答えた。何問かの質問の後、後輩はごく自然に「健康法を教えてください」と尋ねた。今度こそヤバイ、裕也さんに怒鳴られると首をすくめた。しかし、裕也さんは真剣に考えて、ポツリとつぶやいた。「愛と怒りかな」。最初はからかわれたと思ったのだが、よくよく考えると、実に含蓄のある深い言葉だった。確かに、誰かを愛する気持ちを持つことが、生きていく原動力になる。そして、怒ることは立派なストレス発散になる。この人はただものじゃないと思い至った瞬間だった。(編集局長・元尾 哲也)

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