【柳沢慎吾のひとり甲子園“再現動画”】天理の2曲は“歴史遺産”

[ 2018年7月27日 09:00 ]

智弁学園の「C」のマークを再現する柳沢慎吾
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 甲子園の長い歴史で最も使われた応援曲は「天理ファンファーレ」(※文末の動画<1>参照)。今でもヒットが出た時にメチャクチャ流れる軽快なメロディー。♪チャァチャ〜チャッ、チャッチャッ、チャッチャチャ〜!は、誰もが口ずさめる名曲だよね。1959年に天理(奈良)が作った曲でコンバットマーチよりも古く、ブラバン応援歌では最古と言われてるんだ。

 天理にはもう一つ凄い曲があって72年から演奏している「ワッショイ」。畳みかけるように「ワッショイ、ワッショイ」と、合いの手のテンポが速くなっていき、相手もビビっちゃう。この2曲とも全国の高校が使ってる。甲子園史に残る“歴史遺産”のようなものだ。

 実はこの「ワッショイ」、走者が二、三塁にたまった時だけのレアな曲。だから試合展開で流れない時もある。そしたら学校に「なんで演奏しなかった!」と抗議の電話が来たっていうんだから凄いよね。でも、振り返ってみても、この曲が流れなかった時なんてなかった気がする。それだけ天理の打撃力が凄いってこと。だって一、三塁でも流れないんだからね。

 天理のライバル・智弁学園(奈良)は、視力検査のような「C」の人文字がアルプススタンドで目立ってるよね。たまに逆向きになったりしないのかな。相手は、それだけで「えっ?」ってなるよね。2002年3回戦では智弁和歌山(和歌山)との史上初の兄弟校対決(※文末の動画<2>参照)もあった。両方のスタンドに「C」の人文字は不思議な感じ。ユニホームがそっくりだったけど左袖のマークに県名が入っていたのと、校章が微妙に違うんだよね。ユニホームの色合いも微妙に違った気がしたけど気のせいだったかも。

 智弁の「C」と同じく、関西では「H」の人文字で知られる平安(現・龍谷大平安、京都)には珍しい応援曲がある。その名も「怪しいボレロ」(※文末の動画<3>参照)。甲子園応援歌の関連CDがいくつか出てるけど、この曲の怪しさが原因なのか、いまだに収録されてない。生でしか聴けない名物のチャンステーマだから、ぜひとも聖地で聴いてもらいたいね。

 応援が試合を後押しするケースは本当に多い。14年夏の三重(三重)―大阪桐蔭(大阪)の決勝も、三重が3―4で敗れたとはいえ、すさまじい声援に包まれた。大阪桐蔭の西谷監督が「完全にアウェー。脅威を感じた」と振り返ったほど。三重は米ミシガン大の応援曲をアレンジした「レッツゴー三重」が定番で、応援歌を途切れさせない独特のスタイル。そんな個性豊かなブラバンが名勝負を盛り上げるんだよ。

 ▼智弁学園3―7智弁和歌山(02年)智弁学園は5回までに7失点。終盤追い上げも届かず。この年、智弁和歌山は準V。

 ▼三重3―4大阪桐蔭(14年決勝)三重は県勢59年ぶりの決勝進出。1点リードの7回2死満塁で2点適時打を許した。

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