久保王将タイに…封じ手から「一直線」の攻め、穴熊こじ開けた

[ 2018年1月29日 05:30 ]

第67期王将戦7番勝負第2局第2日 ( 2018年1月28日    佐賀県上峰町・大幸園 )

勝1負のタイに持ち込んだ久保王将は上峰町の特産品の天衝米(てんつるまい)、佐賀牛などを手に笑顔を見せる
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 久保利明王将(42)が果敢な端攻めで初勝利を挙げ、対戦成績をタイに戻した。2日目の再開直後から豊島将之八段(27)の4枚穴熊に猛攻開始。堅陣を突き崩して粘る豊島を104手での投了へ導いた。第3局は2月3、4日、栃木県大田原市へ舞台を移す。

 消費時間に変調が見えた。豊島は快勝した第1局、7時間30分使った久保に対し半分以下の3時間38分。第2局も1日目は久保の4時間17分に対し、3時間7分。ところが2日目、久保の66手目[後]9八歩に手が止まった。

 続く[先]8八王に1時間18分、71手目[先]4五飛(第1図)に1時間31分。昼食休憩時「重要な局面なので考えました」としたが、控室に集う棋士らの評判は久保優勢へ傾きだした。

 1日目を終え「一直線も曲線的な展開もある」と2日目を展望した久保。封じ手[後]9六歩に込めたのは、「一直線」の決断だった。端攻めから4枚穴熊を粉砕。残った金銀3枚が壁にもなり、豊島王は逃げ場を失った。

 タイか連敗か。久保にとって岐路だったことは歴史が証明する。挑戦者に第1局から連敗した王将は、11人連続失冠した。1961年、当時の大山康晴王将が二上達也八段に連敗後、4連勝したのが防衛した唯一のケース。

 「棋界一の過酷さ」。それが王将戦挑戦者決定リーグ。7人総当たりで争い、残留と陥落が3人ずつ。佐藤天彦名人ですら今期1勝5敗だったリーグを、5勝1敗で制した豊島には力と勢いがあった。今年度勝率は対局前まで33勝10敗の・767。50勝11敗で・820の藤井聡太四段には及ばないが在籍するA級順位戦は強敵ぞろい。「実力者、ホープが勢ぞろいする。勝ち抜けば自信をつけて勢いが出ます」。過去4度リーグ入りした立会人の小林健二九段が分析する。

 「(豊島に)穴熊に組まれている。積極的にいくつもりだった」。久保が構想を実らせ、タイに戻した。

 ▼久保利明王将 (38手目[後]9三桂の活用は)こちらの守備も薄くなるので一長一短。穴熊が堅いので仕方なかった。良くなったと思うのは?98手目[後]6六歩と取り込んで。詰めろ、詰めろで先に行けそうになったから。

 ▼豊島将之八段 [後]9六歩の封じ手?そんな手もあるのかなと([先]8五歩ではなく)[先]9六同歩の方が粘りがあったかも。封じ手の局面も(先に)桂を取られているのでまずそう。1日目で失敗してしまったかもしれません。

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