月9「海月姫」コメディーの名手・石川監督 芳根京子を絶賛!振れ幅大きく「心情の芝居も凄い」

[ 2018年1月29日 08:00 ]

“月9”「海月姫」に主演、コメディーに初挑戦している芳根京子(左は工藤阿須加)(C)フジテレビ
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 女優の芳根京子(20)がフジテレビ“月9”「海月姫(くらげひめ)」(月曜後9・00)に主演。コメディーに初挑戦している。顔を大福の粉まみれにするなど、体当たりの熱演を披露。新境地を開拓した。同局「リーガルハイ」シリーズなどを手掛けた“コメディーの名手”石川淳一監督(46)が芳根の魅力を語り、コメディエンヌぶりを絶賛した。

 原作は、代表作に「かくかくしかじか」「東京タラレバ娘」などがある人気漫画家・東村アキコ氏の同名ヒット作。2010年にはテレビアニメ化され、14年12月には実写映画が公開された。

 今回は初のテレビドラマ化。芳根演じる筋金入りの“クラゲオタク女子”月海(つきみ)が女装美男子・蔵之介(瀬戸康史)と童貞エリート・修(工藤阿須加)の凸凹兄弟に出会い、新しい自分と新しい生き方を見つける姿を描く。さらに兄弟と三角関係に陥り、自分には一生縁がないと思っていた恋を知る姿を、ギャグを交えながら描く新感覚の“シンデレラ・コメディー”。

 石川監督は共同テレビの演出家。「リーガルハイ」シリーズのほかに、2015年1月期の月9「デート〜恋とはどんなものかしら〜」、新垣結衣(29)がブルーリボン賞主演女優賞に輝いた映画「ミックス。」(17年10月公開)など、コメディータッチの名作を数々、生み出した。

 実は芳根が「リーガルハイ」スペシャル(13年4月13日放送)に生徒役で出演。ただ、石川監督は当時、生徒の一員だった芳根を認識しておらず「今回の『海月姫』が、基本的にはお互い初めましてという感じです」

 15年7月期のTBS「表参道高校合唱部!」でドラマ初主演した芳根に「おもしろい女優さんが出てきたなと思いました。透明感というか、あまりドラマに染まってないというか。それでいて、何かこう、人を惹きつける力みたいなものを感じました」と好印象。コメディーは未知数だったが、今回、クランクイン前のリハーサルで「テンションが上がっている時も落ちている時も、もうそのまま撮りたいと思ってしまうほどで、コメディー感がどれくらい出るのかという不安はなくなりました。芳根さんという女優さんは『ああ、もうどこまででも行けるんだな、この人は』と思いました」と早くも手応えを感じた。

 月海のキャラクターは「尼〜ず(男子禁制アパート「天水館」に一緒に暮らすオタク女子)の中に入れてしまうと、どちらかと言えば常識派のタイプですが、尼〜ずの中にいてもそんなに浮かずに、ただ一般的にはオタク代表として少し変わった人にしなきゃいけない、そんな頃合い」。その上で「ドラマをやる以上、皆さんが見たいと思っている芳根さんのイメージはまず見せなければいけないと思っています。僕が思うそれは、かわいらしい月海なのですが、ただ、どんなドラマでも、例えば『リーガルハイ』の堺雅人さんと新垣結衣さんみたいに、今まであまり見たことがなかった部分を見せたい。今回はコメディエンヌとしての芳根さんを一番見せたいと思っています」

 第1話の中盤、シーン49。蔵之介にメイクを施され、ドレスアップした月海。鏡に映る別人のような自分に動揺したのか、思わず蔵之介の部屋を飛び出す。天水館まで裸足で走って帰り、途中の公園で顔を洗った。天水館に戻るや、ばんばさん(松井玲奈)とぶつかり、月海は床に突っ伏す。その姿は、まるで映画「リング」の貞子――。

 「ともするとスベりそうな感じもあって、個人的には危険視をしていたシーン。芳根さんとも現場で過去の映画のビジュアルとかを見ながら、こんな感じにしましょうかと話しながらやったのですが、芳根さんが倒れて、うめき声を出されていて、それがとてもホラーで(笑い)。あれで、ちょっと笑える感じになって、とてもよかったなと思いました。ばんばさんにぶつかって倒れて、そのまま誰にも見られないようになるべく遠くまで離れていく…と芳根さんには伝えて撮影をしたのですが、自発的にうなっていただいて。この場面を含め、芳根さんはどのシーンも期待以上です」

 笑いを取るのはもちろん「芳根さんは心情の芝居も凄い。『海月姫』のようなドラマは、バランスが難しいと思うんです。コメディーの後に急に心情のシーンが来て、振れ幅が大きいので。さらに1、2話で言うと、楽しいよりも、切ないとか寂しいとか悲しいという心情が多いんです。そんな心情のシーンになった時、視聴者の皆さんに感情移入させて『かわいそう』とか『ちょっとこの子を守ってあげたいな』とか思わせる芳根さんの芝居の力量は素晴らしいと思います」と絶賛した。

 第2話の終盤、シーン45。月海は自分の部屋で1人、クラゲの絵を描きながら、母親(小雪)の言葉を思い出す。「月海。女の子はね、大きくなったらみんなみんな美しいお姫様になれるんよ」。クラゲのドレスに使う白いレースを手に、鏡を見る。月海のセリフはないが、石川監督は「とても惹きつけられました」と振り返った。

 「ご本人もこのシーンに関しては、僕が思っていた以上に肝のシーンだと思っていてくれていたようで、しっかり心情を入れてくれたので、完成した2話を見た僕の周りの人も、芳根さんが本当に切ない顔をしていると褒めていました。コメディーからの流れの心情のシーンは、芝居に気を抜いてしまったら、どっちつかずになりかねないですし、心情のシーンに入り込めない視聴者の方もいっぱいいると思うんです。でも芳根さんはシーン、シーンできっちり意味を理解して、このシーンはこういうシーンで、でも前のシーンも忘れずに、そこからの流れで自然に心情を入れ込んでお芝居をしてくれるので、助かっているところがたくさんあります」

 最後も「言葉が難しいですが…僕的には、芳根さんはちょうどいい。やりすぎると引かれる、そんなギリギリの前というか、芳根さんの役の作り方は本当にちょうどいいと僕は思っています。月海がもう少しギャンギャンうるさい人だったら、やはりちょっと見ていられないと思うんです」と絶妙なバランスを称え「今後、最終回までに、1、2話とは違うコメディー感が出るかもしれないので、そういうところにチャレンジしていって、また少し違う芳根さんをもっと見たい気がしますね。視聴者の方と一緒に僕も期待しています」。さらに芳根の新境地を引き出す。

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