清水富美加はまるでお手本のような出家をしたなあ

[ 2017年2月24日 08:00 ]

捨てるものをおいしく食べる菜めしむすび
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 【笠原然朗の舌先三寸】宗教法人「幸福の科学」に出家した清水富美加(22)をめぐり改めて「出家」について考えてみた。

 広辞苑によると「出家」とは「家を出て仏門に入ること。俗世間をすて、仏道修業に入ること」とある。

 出家のキーワードは「俗世間を捨てる」。どのように、何を「捨てる」か?

 釈迦は、人間の「生老病死」の苦しみを目の当たりにして29歳で出家。捨てたものは何不自由もない王子という身分だった。

 平安末期から鎌倉時代に生きた、歌人としても知られる西行は親しい友人の死に接し、23歳で出家する。捨てたものは「北面の武士」という身分とエリートコースを歩んだあろう未来。

 出自や家柄、地位や富、将来などは俗世間のものであり、それらを捨てることが出家。抱えているものが大きければ大きいほど、捨てるには勇気と覚悟が必要だ。

 「手本となる出家」「理想的な出家」とは、抱えているものが多い人が、きっぱりとそれらを捨て仏門に入る…ということになる。

 釈迦と西行という仏教界の超大物スター2人の出家物語が後世まで伝えられているのは「これぞ出家!」だからだろう。

 清水の場合も、女優としてコモノ感はいなめないものの、「手本のような出家」だ。

 事務所との契約や、穴を空けた仕事への違約金、いままで支持をしてくれたファンへの裏切り…など突然、出家したことによるさまざまなマイナス要素が取り上げられるほど、本人の中では出家の理由が正当化されていくのではないか。

 鎌倉時代から南北朝時代にかけて生きた吉田兼好は「徒然草」の59段で「出家」についてこう述べている。

 「大事を思ひ立たん人は、さりがたく、心にかからん事の本意を遂げずして、さながら捨つるべくなり」と説く。

 「出家を思い立つ人は、避けがたく、気掛かりなことがあっても、それを果たさずに、そのままうち捨てねばならない」(講談社学術文庫「徒然草」全訳注・三木紀人を参照) 

 さらに「このことが終わってから」とか「あとで人に非難されないように」とか思っているうちに一生が過ぎてしまう。出家に当たっては、老いた親、子ども、主君の恩、他人の情なども捨ててしまえ…と。

 人生は短い。手遅れになる前に思い立ったが吉日。親も子どもも、恩ある人も捨ててしまえ。忠言、批判、非難に耳を傾けるな、人の情けもこの際、考えることはない。吉田兼好が考える出家とはかくも厳しいものなのである。

 30歳前後で出家したとされる吉田兼好、前述した釈迦、西行のケースからみた場合、清水の出家は(1)世間的にみてそのタイミングの唐突さ(2)出家前の立場(3)捨てるものの多さ(4)その結果、生じる不義理の量…の4点においてのみ、「理想的出家者」の姿といえなくもない。

 問題なのは出家後のこと。自らの行いで招いた結果は、自分に返ってくるわけだし、それは自分で解決するべきことだ。仏教でいう「因果応報」、「自業自得」とはそういうことだ。

 清水富美加の場合はどうなのか?

 「幸福の科学」は清水のために弁護士を用意し、法名を与え、出家後の生活を保証するという。将来的には教団の広告塔として芸能活動を再開するかもしれない。簡単に言えば、出家するための「ケツ持ち」がいたのだ。

 清水が出家を決めた原因はいくつもあるのだろう。人の苦悩が人それぞれで、質的、量的に比べられるものではない。だから「そんなことは誰でもあることだ」とか「甘えている」という批判があるとすれば的外れである。

 人は誰でも「現在」から逃げ出したいと思うことがある。かくいう私も、このまま蒸発したい、どこか別の場所で生きたいと思ったことが54年の人生で幾度かあった。

 だが抱えるものは多く、果たさなければならない責任も多い。だから凡人は出家もできない。

 一方で、何も考えずに、誰かの懐に飛び込むことができれば、誰かが自分の無責任のケツを持ってくれれば…そんなことを考えている人たちもいる。そしてそんな人たちの心の隙間をみつけて甘くささやく人たちもいる。「あなたの苦悩はよくわかる。全部、世間が悪いのです。だからすべてを捨てていらっしゃい。あなたは何も考えなくてもいい。ただ信じるだけでいいんですよ」と。

 清水の「お手本のような出家」物語は、「幸福の科学」にとって新たな信者獲得のための演出なのではないか?と勘ぐってしまうのである。(専門委員)

 ◎捨てるものをおいしく食べる菜めしむすび

 大根の葉、カブの葉などの「菜」。スーパーなどでついたまま売られていればラッキー。有効利用しよう。

 (1)菜をこまかく刻む。

 (2)たきたてのご飯に、だししょう油、じゃこ、ごま、塩を加えよく混ぜ合わせる。

 (3)(1)をさっとゆでて、(2)にくわえよく混ぜる。味を見ながらだししょう油、塩で味をみてできあがり。あとは握るだけ。

 ◆笠原 然朗(かさはら・ぜんろう)1963年、東京都生まれ。身長1メートル78、体重92キロ。趣味は食べ歩きと料理。

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