大杉漣 65歳でも「右往左往」不安を力に探求の日々「俳優に正解ない」

[ 2017年2月24日 07:30 ]

「バイプレイヤーズ」名脇役インタビュー(最終回)大杉漣(下)

キャリアに裏付けられた演技論、仕事観を明かす大杉漣(C)「バイプレイヤーズ」製作委員会
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 遠藤憲一(55)田口トモロヲ(59)寺島進(53)松重豊(54)光石研(55)=アイウエオ順=とともに、日本映画界に不可欠な名脇役6人による夢の共演で話題を呼ぶテレビ東京「バイプレイヤーズ〜もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら〜」(金曜深夜0・12)に名を連ねる俳優の大杉漣(65)。確固たる地位を築きながら、今なお「右往左往しています」と表現の世界は果てしない。今年からバラエティー番組のレギュラーにも初挑戦し、65歳にして新境地。その演技論、仕事観に迫った。

 数多くの作品に出演し“300の顔を持つ男”の異名を取ったバイプレイヤーの代表格。脇役を演じる極意は?と水を向けると「全然ないですよ〜」と苦笑い。それでも「若い頃は名前が大杉漣じゃなく“やり過ぎ漣”になるんじゃないかと思うぐらい、いろいろなことをやりました」と冗談めかして笑いを誘い「CURE」「トウキョウソナタ」「クリーピー 偽りの隣人」などで知られる黒沢清監督(61)のVシネマ「勝手にしやがれ!!」シリーズ(1995〜96年)に出演した際のエピソードを明かした。

 「その時は台本に書かれている以外のことを必ずやるというのをテーマにしました。その瞬間のリアリティーを感じていたいと思っていたので、その場で一番感じたことを瞬間的に表現できるかということに挑戦してみたかったんです。黒沢監督も、とてもおもしろがってくださったんですが、本編を見ると、ほとんど切られて(カットされて)いましたね。それは、僕にとっては嫌なことではありませんでした。僕は色を塗り続け、監督は色を消し続ける。そのせめぎ合いが楽しかったです。(カットされるにしても)多少なりとも自分の色を置いてくると、監督の色だけにはならないぞっていうところがやっぱりあるんですよね。ひょっとしたら、それを個性というのかもしれません。もちろん失礼にならないように押し付けがましくはしませんでしたが、僕にとっては楽しい作業でした。表現というのは、最短ルートで行くのか、回り道で行くのか、方法によって顔が変わってきます。日々そんなところで右往左往しているんです」

 百戦錬磨の大杉をして、芝居は底の見えない“表現の沼”。右往左往しながら、模索し続けている。「65歳になっても、こんなにフワフワしていて、どこに所在があるのかも分からない。今まで自分の中で“これでよし”なんていう確信めいた答えがあったかどうか、分かりません。ただ、この年齢になっても、こうやって右往左往できる素晴らしさというのはあると思うんです。ウロウロすることは、そんなに悪いことでもないと思っているんですね。俳優の仕事というのは、そういうことが許されると言うと変かもしれませんが、そういうことを背負わなきゃいけない仕事だと思います。この間、遠藤(憲一)さんと話をした時、2人に共通するワードが1つ、ありました。“不安”です。僕は遠藤さんに、不安は力になると言いました。僕は、不安を力にしたい。不安があるということは負のように聞こえるかもしれませんが、僕の感覚だと決して負じゃなく、不安を背負うことによって次の課題に向き合える力になると考えているんです」

 今年から日本テレビ「ぐるぐるナインティナイン」(木曜後7・56)の人気コーナー「グルメチキンレース ゴチになります!」パート18に参戦。バラエティー番組のレギュラー初挑戦に「この年齢になってもチャレンジできるものを与えてくださるというのは、僕にとってはありがたいことです。今まで経験しなかったフィールドに立つ!ワクワクします。だから、右往左往しても全然構わないと思っていますし、楽しんでみたいと思います」と張り切っている。

 最後に、今後について尋ねると「正直、相変わらずフワフワし続けると思うんですよ。ただ、自分の俳優としての精神みたいなものは、ちゃんとブレないで持っているつもりなので、その上で、どういうふうにフラフラできるか。さっき申した不安の中身ということも問われ続けなきゃいけないことだと思います」と探求の日々は続く。「だから、65歳で落ち着いているかというと、全く違う。真逆かも分からないですね。俳優というのは、このやり方をすれば、こうなるという正解はまずないので、これからも自分なりの仕事の流儀みたいなものを探して、獲得していく作業があります。いろいろ模索しながら、やっていくんだと思います」。大杉漣は表現という荒野をさすらい続けるのかもしれない。

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