ソフトB・千賀メジャー明言 海外FA権「行使は絶対します」 9球団が興味 契約総額147億円超も

[ 2022年10月16日 05:00 ]

パCSファイナルステージ第4戦   ソフトバンク2ー3オリックス ( 2022年10月15日    京セラD )

<オ・ソ>前夜の登板から一夜明け、軽めの調整を行った千賀(撮影・後藤 大輝)    
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 プロ野球クライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージ(6試合制)は第4戦が行われ、オリックスが4勝1敗(アドバンテージ含む)で、日本シリーズ進出を決めた。敗退したソフトバンクのエース・千賀滉大投手(29)は試合後、今季取得した海外フリーエージェント(FA)権を行使しての米メジャー移籍を明言。すでに少なくとも9球団が興味を示しており、契約総額は1億ドル(約147億円)を超えることが予想されている。

 千賀の口調ははっきりしていた。今CS自身2連勝の奮闘も届かなかった日本一。次なる舞台に向け、メジャー挑戦という新たな道へ歩き出すことを決断。海外FA権行使を表明した。「(メジャー挑戦は)6年くらい言っていますし、今さら変わることはない。行使は絶対しますけど、単純にそこからのやりとりは時間のかかることなので、何も分からない」。言葉を選びつつだが、肝心な部分は明確だった。

 今季は22試合に先発し11勝6敗、防御率1・94をマーク。投手陣唯一の規定投球回到達で、本格的にローテーションに加わった16年以降では初の防御率1点台。自己最速164キロもマークした。8月29日の日本ハム戦(札幌ドーム)ではヤンキース、メッツ、パドレス、パイレーツ、フィリーズのスカウトが視察する中、6回4安打無失点など、随所で160キロ超の直球と「お化け」と称されるフォークを見せつけた。

 17年3月のWBCでは4試合に登板し、防御率0・82、大会最多16奪三振と日本チームからただ一人、ベストナインに選出。世界のレベルを経験した千賀の心に「凄いんだろうなと思うから、行ってみたい」とメジャー挑戦の夢が芽生えた。

 同年オフの契約更改から毎年、メジャー移籍を直訴してきたが、球団はポスティング移籍を認めない方針を貫いた。そして、今年9月16日に念願だった海外FA権を取得。昨オフには国内FA権を行使せず、メジャー移籍を視野に契約見直しや破棄ができる「オプトアウト」条項付きの年俸変動制5年契約を結んでいた。交渉にあたる代理人は米大手エージェント会社「ワッサーマン・メディア・グループ」に一任する。19年に育成出身初のノーヒットノーランを達成。20年には最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振のタイトルを獲得し投手3冠に輝くなどチームを4度の日本一に導いた。絶対的エースは昨年の東京五輪でも世界に実力を示し、金メダル獲得に貢献。数々の功績を残した鷹の「育成の星」が、ついに海を渡る。(福井 亮太)

 ◇千賀 滉大(せんが・こうだい)1993年(平5)1月30日、愛知県出身の29歳。蒲郡高から10年育成ドラフト4位でソフトバンク入団。プロ2年目の12年4月23日に支配下選手登録され、翌13年5月12日の西武戦でプロ初勝利。17年には勝率1位、19年には最多奪三振、20年には最優秀防御率、最多勝、最多奪三振の3冠に輝き17~20年の日本シリーズ4連覇に貢献した。19年9月6日ロッテ戦ではノーヒットノーラン達成。17年WBC、昨年の東京五輪で日本代表入り。1メートル86、92キロ、右投げ左打ち。


 《大物並ぶ今オフ米FA市場》 「SENGA」の名前が米国にとどろいたのは17年。第4回WBC準決勝・米国戦でホスマー、マカチェン、ポージーを3者連続三振に打ち取る圧巻の投球で、全30球団が注目する投手となった。

 今オフのメジャーのFA市場は、デグロム(メッツ)、バシット(同)、ロドン(ジャイアンツ)、バーランダー(アストロズ)、カーショー(ドジャース)ら大物が並ぶが、千賀も先発投手の中心と評価されている。

 メジャーで規定額で1年契約を求める「クオリファイング・オファー」を拒否したFA選手を獲得した球団はドラフト指名権を旧所属球団に譲渡しなけらばならないが、日本で海外FA権を取得した千賀には不要。ポスティングシステムを利用してメジャー移籍した大谷(エンゼルス)らと違い、譲渡金も不要という利点もある。

 現在、ヤンキース、ブルージェイズ、レッドソックス、オリオールズ、レンジャーズ、ドジャース、メッツ、カブス、パドレスなど少なくとも9球団が興味を示しているという。大リーグ関係者は、契約総額が1億ドル(約147億円)を確実に超えると予測する。

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2022年10月16日のニュース