オリ・中川圭の日本S決定打「無敵の中川」の恩返し 中嶋監督から「“よくやった”と言ってもらえました」

[ 2022年10月16日 05:00 ]

パCSファイナルステージ第4戦   オリックス3ー2ソフトバンク ( 2022年10月15日    京セラD )

<オ・ソ>9回サヨナラ打の中川圭は中嶋監督と抱き合う(撮影・井垣 忠夫)
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 パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(S=6試合制)は15日の第4戦でリーグ連覇したオリックスが2位のソフトバンクをサヨナラで破り、アドバンテージを含む4勝1敗で2年連続14度目の日本シリーズ進出を決めた。2―2の9回2死二、三塁から中川圭太内野手(26)が左前へ殊勲打。中嶋聡監督(53)は昨秋敗れたヤクルトへの雪辱を期し、22日開幕の頂上決戦を見据えた。

 今年最多の観衆3万3717人が歓喜に沸いた。ナインに呼び込まれる形でマウンド付近へ向かった中嶋監督が5度宙を舞った。予定になかった胴上げ。「昨日(14日)ヤクルトはやってたよって言われて。やらないといけないの…ってなった。(リーグ連覇の胴上げは)仙台だったから、京セラでやれてよかったです」。土壇場で劇的な一打を放ったのはチルドレンの一人。監督代行に就任した20年8月21日、西武との初陣で4番を託し、「無敵の中川」と呼んだ中川圭だった。

 「野球人生で一番足が震えていた。どんな形でも決めてやろうと思っていた。(監督から)“よくやった”と言ってもらえました」

 2―2の9回は安打と四球などで2死二、三塁。カウント2―2からの5球目、モイネロの内角146キロスライダーを左前へ打ち返した。一塁を回り、ウオーターシャワーでびしょぬれになって両拳を突き上げた。

 一級品のタイミングの取り方はPL学園時代に築いた。OBで当時コーチだった深瀬猛氏から勧められたノーステップ打法で習得。中日・福留が今季限りで現役引退し、ツインズ・前田がいても、プロ野球では「最後のPL戦士」。深瀬氏には「(中川)圭太が背負う必要はない。一日でも長くプロで活躍してくれたら」と背中を押される。

 吉田正の前後が重要な打線で、杉本やT―岡田、外国人が軒並み不振にあえぐ中で穴を埋めた。昨年は左手有鉤(ゆうこう)骨を骨折し、立てなかった大舞台で好結果。ベンチ前で出迎えた指揮官は抱き合い、何度も激しく背中を叩いた。

 「ダメなの?だって、うれしかったよ。去年の骨折でグジュグジュした思いはあったと思うけど、吹っ切れた形になった。元々の力はありますのでね」

 2年連続のヤクルトとの頂上決戦。「去年しっかり負けましたので今年やり返したい。チャレンジャーとしてやるだけです」。道は見えた。正捕手だった96年秋に前年の雪辱で日本一の栄冠をつかんだように――。(湯澤 涼)

 ○…オリックスがサヨナラ勝ちで対戦成績を4勝1敗(アドバンテージの1勝含む)とし、2年連続14度目の日本シリーズ進出を決めた。プレーオフ、CSでのサヨナラ勝ちはチーム初で、昨年ロッテがファーストS第1戦で記録して以来延べ13チーム目。うち日本シリーズ進出決定試合では06年日本ハム(プレーオフ第2S第2戦)、10年中日(CSファイナルS第4戦)、11年ソフトバンク(CSファイナルS第3戦)に次ぎ11年ぶり4チーム目。

 ○…オリックスが日本シリーズでヤクルトと対戦するのは昨年に続き4度目。過去3度は78年=3勝4敗(当時阪急)、95年=1勝4敗、昨年=2勝4敗で全て敗退。96年(対巨人)以来5度目の日本一へ雪辱なるか。

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