MLB労使交渉まさかの延長戦 昨季MVPのハーパー痛烈皮肉!?巨人入り“オファー”

[ 2022年3月2日 05:30 ]

フィリーズのブライス・ハーパー(AP)
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 労使が対立する大リーグは、28日の午前10時(日本時間3月1日午前0時)から1日午前2時30分(同1日午後4時30分)まで、東部フロリダ州ジュピターで機構(MLB)と選手会が8日連続となる交渉を行ったが、決着しなかった。機構は2月中に合意しなければ3月31日(同4月1日)の開幕を延期し、シーズンを短縮する方針だったが、期限を米東部時間1日午後5時(同2日午前7時)に1日先延ばし。「延長戦」の行方はいかに――。

 カージナルスとマーリンズのキャンプ地ジュピター。本来なら、この時期にオープン戦が行われているロジャー・ディーン・スタジアムが、超ロングラン労使交渉の舞台だった。午前10時に始まり、食事休憩などを挟みながら断続的に続いて終了は翌日の午前2時30分。それでも、妥結には至らなかった。

 この間、取材に訪れた現地メディアや熱心なファンが、球場周辺で決着の時を待っていた。日付が変わった午前1時前には、大リーグ専門局「MLBネットワーク」の看板記者ジョン・ヘイマン氏が「双方は合意するまで球場にとどまる決意がある」とツイッターに投稿。しかし、年俸総額(ぜいたく税課税の基準額)など主要議題の溝を埋められなかった。同氏によれば、26年まで段階的に引き上げる年俸総額について、選手会は当初の要求から譲歩して2億3000万ドル(約265億円)程度としたが、MLBは2億2000万ドル(約253億円)で譲らなかった。

 交渉の難航は思わぬ場外戦も生んだ。球場には熱心なファンが詰めかけ「野球を守れ」などのボードを掲げ、早期合意を訴えた。通りかかったMLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーが、ファンの問いかけに答える場面もあった。

 また、昨季ナ・リーグMVPでフィリーズの主砲ハーパーは現地の夕方、インスタグラムに巨人のユニホームとヘルメット姿の合成画像を投稿。「読売ジャイアンツさん、いかがですか。私は時間を持て余しています。(代理人の)ボラス事務所の連絡先は知っていますよね?話し合いましょう」とつづった。19年からフ軍と13年契約を結んでいるメジャー屈指の外野手の痛烈な皮肉。巨人の公式インスタグラムは「ユニホームのサイズはいくつですか?」と粋な切り返しを見せた。

 交渉は前進している。最低保障年俸、ボーナスプール(年俸調停権取得前の選手が活躍に応じて得る金額の総額)では合意していないものの、選手会は年俸調停権の取得条件緩和の要求を取り下げ、MLBはポストシーズン拡大について選手会の案をのんだ。28日は予定通り開幕するためのデッドラインだったが、1日延長して合意を目指す。

 労使に関する動きが止まるロックアウトから3カ月。ドタバタの16時間半交渉を経て、野球が戻ってくる日は着実に近づいてきた。

 ≪原監督は「ウエルカム!」≫巨人・原監督は、ハーパーがSNSに投稿した「巨人移籍アピール」について報道陣から知らされると「ウエルカム!日本のおいしいお菓子でも送っておいてよ」とニヤリ。30億円を超える年俸については「みんなで分かち合おう」と、おどけて呼びかけた。

 ≪吉田正の憧れ≫ブライス・ハーパーは米ネバダ州ラスベガス出身の29歳。10年ドラフト1巡目(全体1位)でナショナルズに入団した。メジャーデビューを果たした12年にナ・リーグ新人王に輝き、15年に本塁打王とMVP。18年オフにFAとなり、フィリーズと当時では米プロスポーツ史上最高額の13年総額3億3000万ドル(約369億6000万円=当時)で契約した。21年に2度目のMVP。幼少期から野球の天才少年として知られた。オリックス・吉田正も憧れの存在に挙げており、昨季までナ軍時代のハーパーと同じ背番号34をつけた。飼い猫をブライス、飼い犬をハーパーと名付けたほど心酔している。

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