阪神・岩崎が痛感した4敗の重み 空港までスアレス見送り「ありがとう」、奪三振率に込めた誓い

[ 2021年12月16日 07:00 ]

阪神・岩崎の独占企画「成し遂げる」

4月16日、最後を締めたスアレスを笑顔で迎える岩崎
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 阪神の岩崎優投手(30)がスポニチ本紙に“塩対応”ではなく思いの丈を明かす新企画「成し遂げる」がスタート。第1回はセットアッパーとしてフル回転した今季を振り返るとともに、僅差で優勝を逃した責任と悔しさを吐露した。来季の新守護神候補にも挙がる中、浮き彫りになった自身の課題についても口にした。(取材・構成=遠藤 礼)

 感謝を込めて「さよなら」を告げた。クライマックスシリーズファーストステージ敗退から2日後。岩崎の姿は空港にあった。梅野、秋山ら同僚数人と、その後に退団が決まるスアレスの帰国を見送るためだった。

 「引き留める言葉とかも考えましたけど…。もう“ありがとう”ってだけですよね。これだけ多くの勝ちをもたらしてくれて」

 救援失敗わずか2度、失点も5試合だけと桁違いの安定感を誇示した希代のクローザーの存在は、8回を担った左腕を新たな境地に導いた。「自分がすべきことはスアレスにつなぐことだけでした。そうすればチームは勝てるし、負けることもない。あれだけ絶対的な存在だったからこそ、ある意味で“9回”をやってました」。

 勝敗が揺らぐとすれば「8回の成否」だったと自ら言った。62試合登板で自己最多の44ホールドポイントは、その人知れない重圧と向き合った戦いの跡にも見える。だが、チームは勝率5厘差でリーグ優勝を逃した。「ゲーム差はなしでしたけど(ヤクルトと)待ち受けていた結果は全然違いましたからね。投手は勝ち負けが成績として出ますけど、自分の負けが1個でもなければ順位が逆だったかもしれない。そういう責任は一番、自分があったのかなと思います」。積み上げたホールド数に充実を求めず刻まれた4敗を悔いた。

 9年目となる来季は新守護神の候補にも挙がる。試合を締めくくる立場を務めることになったら…。足りないものも自覚する。「絶望感まではいかないですけど、この投手が出てきたら厳しいな、ヤバいなと相手に思わせないといけないと思う。スアレスがそうであったように」。ポジションに関係なく、絶対的な存在に近づくために向上を目指すのが「奪三振率」だという。

 中継ぎに転向した17年に11・05をマークしたのをピークに今季の7・96まで4年連続で降下。「年々、奪三振率が落ちてきているんで上げていかないときつくなる。中継ぎをやり始めた時は意識してやってましたし。まだ分からないですけど9回をやるなら、なおさら」と視線は鋭くなった。「データももちろん、見直して参考にして。コンディションを整えて1年間、維持するのも一つ。フォームのタイミングを変えたり、球種を(新たに)加えたり。そういうのをキャンプ中、オープン戦、シーズン中もやっていこうかなと」。明確な課題解消へ挑戦をやめない。

 「すべてはチームの優勝のために。自分もその中で何かを成し遂げられるように」。自己改革へ静かに動き始めた。

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2021年12月16日のニュース