エンゼルス・大谷伝説証言 カメラマン&担当記者が現地で見た2021年シーズン
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エンゼルス・大谷翔平投手(27)の打者で46本塁打、投手で9勝を記録し、ア・リーグMVPに輝いた歴史的シーズンについて、スポニチ本紙・柳原直之記者(36)と沢田明徳カメラマン(48)が現地での密着取材で感じた二刀流の進化を証言した。
≪笑顔、笑顔…唯一の怒り≫感情を素直に表現し、本当に楽しんでプレーしていた。私が撮影したのは7月から今季終了までの3カ月間。73試合で撮影枚数は約25万枚に及んだ。写真集発行に備え、帰国後の隔離期間に全て見直した。プレー以外では笑顔の画像があふれていた。開始直前のベンチではナインとお決まりのポーズで気持ちを上げる。DHはベンチにいる時間が長いが、準備しながらナインや時にはカメラマンをイジることもあった。
勝負を避けられた9月以降も大谷は変わらなかった。申告敬遠にもバットをそっとグラウンドに置くと防具を外し一塁へ。一塁手とニヤニヤ話していたと思うと、次の瞬間に盗塁を狙う。帰国後の会見で語っていた苦しい最後の1カ月も、レンズを通して見る大谷は楽しそうだった。
だが、一度だけ怒りの形相を見せた。10勝へのラストチャンスとなった9月26日マリナーズ戦。1―1の7回、打席が回らず、バットケースにバットを振り下ろした。道具を大事にする大谷が発したすさまじい音。叩きつけた瞬間は選手に隠れて撮影できなかったが、直後の一枚は悔しさを物語っていた。ここで降板。103年ぶりの2桁本塁打&2桁勝利はならなかった。
新型コロナウイルスの収束は見えず、マスクを外せない息苦しい日々は続いている。東京五輪期間中は中継がなくなり「大谷ロス」が起きた、とも聞いた。私が目撃したのは、最高峰の舞台を心底楽しむ「野球小僧」の姿。来季の開幕までしばしの「ロス」を今回の写真集で少しでも埋めることができれば幸いだ。 (沢田 明徳)
◇沢田 明徳(さわだ・あきのり)1973年(昭48)4月30日生まれ、愛知県出身の48歳。98年入社。写真部(現写真映像部)、静岡支局を経て再び写真部。ゴルフ、MLB、プロ野球などを担当。
≪500フィート弾に近づいた音≫現地で取材し、最も衝撃を受けた本塁打は、7月9日のTモバイル・パークでのマリナーズ戦で放った一発だ。右翼4階席「アッパーデッキ」への33号。同僚のアップトンがベンチで両手で頭を抱え、目を丸くして驚いた表情が忘れられない。
公式飛距離は463フィート(約141メートル)。でも実際はもっと飛んでいると思う。ジョー・マドン監督は「463フィートはあり得ない」、右腕カッブも「500フィート(約152メートル)は飛んだ」と主張。記者も着弾地点を訪れたが、こんなところまで飛ばしたのかと仰天した。
今季は「音」が変わった。この一発は「バチッ」というすさまじい音だった。昨季まではアオダモ材のバットを使用していたが、今季はバーチ(カバ)材に変更。13年から大谷を担当するアシックス社の河本勇真さんによると「バーチはアオダモより硬く反発力があるため、昨季より高い打球音が出ていたのでは」と言う。メジャーではより硬く反発力があるホワイトアッシュやメープルが主流。バーチは少数派だが、メジャーの強打者と比較しても大谷の打球音は際立っていた。それこそが規格外のパワーを証明しているのだろう。バーチはアオダモより軽いため、今季は同じ重さのまま、バットの根元部分を太くした。河本さんによれば、大谷は今季活躍の要因の一つにこの形状の変化を挙げ「速い球、動く球対策。確率高く、根元でも捉えられる」と話していたという。
スタットキャストが導入された15年以降、500フィート超えの本塁打はわずか2本しかない。来季は正真正銘の500フィート弾に期待。打球音に耳を傾け、アップトンのように目を丸くして驚きたい。(柳原 直之)
◇柳原 直之(やなぎはら・なおゆき)1985年(昭60)9月11日生まれ、兵庫県出身の36歳。銀行員を経て12年入社。遊軍、日本ハム担当を経て18年からMLB担当として、大谷に密着。
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